2002年2月23日(土)「しんぶん赤旗」
坂口力厚生労働相、福田康夫官房長官と自民党の麻生太郎政調会長、丹羽雄哉医療基本問題調査会長は二十二日午後、国会内で会談し、健保三割負担の実施にともなう医療保険の「抜本改革」について合意しました。中小企業社員らが加入する政府管掌健康保険の五年以内の民営化を、今国会に提出する医療改革関連法案に盛り込むことが柱。
サラリーマンの医療費自己負担の三割(現行二割)への引き上げでは、三割を自己負担の上限とし、将来それ以上アップさせないことを法案にもりこむことになりました。
ただ、先に小泉純一郎首相の意向に沿って政府と与党執行部が合意した二〇〇三年四月からの三割負担実施に対しては、「医療改革の効果、保険財政の状況をまず見極める必要がある」という意見がでてまとまらず、引き続き協議することとなりました。自民党の同調査会と厚生労働部会は同日夜の幹部会で、二十六日に合同会議を開いて、会談の結果を報告した上、来週中の法案了承を目指す方針を決めました。
二十二日に政府と自民党が医療の「抜本改革」の中心課題として打ち出した政府管掌健康保険の民営化は、突如でてきたもので、厚生労働省内でも具体的な在り方が検討された形跡はありません。
民営化に向けて、社会保険庁が担当している政管健保の運営機能を政府から分離することになります。
小泉首相は三割負担の来年四月実施を強行する口実として、国民も痛みを受けるのだから厚生労働省も“痛み”をこうむらなければならない、「四方一両損だ」といいだしています。社会保険庁のリストラ、つまり政管健保の民営化は、こうした小泉首相の掛け声にのって、三割負担四月実施を国民に押し付ける看板として持ち出してきたともいえます。
政府与党の合意を見ても、民営化の具体的内容はまったく不明です。政管健保の五年以内の民営化、その次の段階として、五千を超える健保・国保の保険者の「再編統合」「一元化」をいっているだけです。
政管健保の民営化となれば、現在、患者への医療給付費の13%を負担している国庫補助の存否が問題になります。健保組合のように国庫負担はごく一部となると、保険財源の穴埋めを労使の保険料負担増に求めるか、患者への医療給付の大幅削減が必要になります。給付の大幅削減は三割どころか、四割、五割の患者負担ともなりかねません。
さらに、最低限の医療サービスを民営化した医療保険の分担とし、それ以外の高度な医療技術などは民間保険に加入して、給付を受けるということが考えられます。
いずれにしても国民に新たな負担増がかぶさってくることはさけられません。
(斉藤亜津紫記者)
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