日本共産党

2002年2月23日(土)「しんぶん赤旗」

筆坂書記局長代行の記者会見

(大要)


 日本共産党の筆坂秀世書記局長代行は二十二日、国会内で記者会見し、自民党の鈴木宗男衆院議員による外交私物化の実態にかんする党独自調査を明らかにするとともに、同氏の証人喚問・集中審議を要求しました。その大要を紹介します。

 わが党の佐々木憲昭議員、木島日出夫議員が明らかにした外務省の「秘 無期限」という内部文書について、川口順子外相は存在を認めた上で、書かれていることが事実かどうかを調査すると発言しました。これは非常に重大だと思います。

 小泉純一郎首相は遅くとも十日以内という指示をだしたそうですけれども、それにとどまってはならないと思います。

悪事を隠すために「秘」文書扱いにしている

 調べることは調べて結構だが、むしろ、わが党の追及を証明するものとして、あの内部文書がでてきたわけで、事実であることは明りょうです。

 問題の一つは、なぜ、こういう文書が「秘」扱いになっているのかということです。

 外務省の「機密保全に関する規則」によると、第一章、総則の第三条で「秘密は次の種類に区分する」とあります。

 一つは「極秘」。これは、「秘密保全の必要が高く、その漏洩(ろうえい)が国の安全・利益に損害を与える恐れがあるもの」。「秘」については、「極秘につぐ程度の秘密であって、関係者以外には知らせてはならないもの」というように規定されています。

 つまり、国の安全・利益にかかわるもの、それが「極秘」であり、「秘」であるということです。

 われわれが入手して、暴露した「秘」文書というのは、別に国の安全や利益になんのかかわりもないもので、鈴木宗男議員の利益にかかわる介入の様子、それにどう外務省が屈服していったかという経過が書かれているものであり、本来「秘」扱いでもなんでもない。まさに悪事を隠すための「秘」扱いだといわざるをえないと思います。

鈴木議員の疑惑にかんする資料をすべて公表せよ

 今回、これは「ムネオ・ハウス」にかかわっての内部文書ですが、それ以外にも桟橋であるとか、診療所であるとか、ODA(政府開発援助)であるとか、いろいろな疑惑がこの間追及されてきました。

 外務省がいまやるべきことは、こうした鈴木議員がかかわったODA問題やその他のいろいろな疑惑にかかわるすべての資料を、あらいざらい公表するということです。

 なお、今回の件について、「だれが内部文書を出したのかという内部調査をやる必要があるのではないか」という議論があるそうですが、本末転倒もはなはだしい。

 鈴木議員の介入・圧力の問題とともに、外務省が(その圧力に)まったくいいなりになっていた、鈴木議員に外務省全体が私物化されていた―こういうところに今度の問題の核心あるわけで、「伏魔殿」といわれる外務省のあり方を根本から問い直すということがいま外務省に求められていると思います。

 昨日、木島議員も追及しましたが、鈴木議員については官房副長官という要職にあって、入札介入をやっているわけです。官房副長官というのは、内閣の重責を担っている人物で、当然、幅広い職務権限をもっていると解するのが当然です。したがって、われわれとしては、今後、政治的、道義的責任と同時に、刑事責任を厳しく追及していきたいと思います。

当事者の外務省まかせでは悪事解明できない

 二つ目に、佐々木議員も指摘したことですけれども、この究明を外務省まかせにするという小泉首相の態度もたいへん問題です。外務省がいわば(行政を)ねじまげた当事者ですから、その当事者まかせで、この悪事を全部さらけ出すということはできないわけです。やはり外から外務省をきちっと監察するということが必要です。

 その点では、なんといっても国会が果たすべき役割・責任というのが非常に重大です。私たちは、他の野党もそうですが、鈴木議員の証人喚問は当然強く要求していきたいと思います。だいたい十日をめどに調査結果が出るわけですから、当然その調査結果が出れば、集中審議も要求していく。この点については、他の野党三党にも、われわれから証人喚問、集中審議を共同で与党に迫ろうということで呼び掛けたいと思いますし、できれば週明けにでも党首会談も提案していきたい。

 事は、日本の外交のあり方、国益にかかわる大問題ですから、あいまいな決着は許されないという態度でのぞんでいきたいと思います。

手口も巧妙、地域も無限定の利権構造

 三つ目に、佐々木、木島両議員の追及で、「北方四島支援」やアフリカODAを私物化し、くいものにした税金還流の実態を明るみに出してきましたけれども、「北方四島支援」でいえば、ムネオ・ハウスだけではなくて、桟橋の改修、発電施設建設、「友好丸」、「希望丸」といったはしけの建造などなど、文字通りありとあらゆることが鈴木宗男議員の、いわば利権になってきたということです。まさに人道支援という名前がついているけれども、“人道支援プラス宗男支援”というのが、この実態だと思います。

 ムネオ・ハウスの問題についていいますと、根室に限定して、渡辺建設工業というところに落札されるわけですけれども、この会社とジョイントを組んだ犬飼工務店が、鈴木宗男議員の後援会の幹部をしていたという関係です。しかし、資格があったのは渡辺建設工業だけ。犬飼をいわば抱きこむ形で落札させるというやり方をやったわけで、その点では非常に巧妙なやり方がやられました。

 (入札参加資格で)「地域限定」という言葉が佐々木議員の追及で少しはやり言葉になったのですが、これはあくまでも渡辺建設工業に落とすための「地域限定」であって、彼自身が利権にしているのは地域無限定です。ものによっては東京に本社がある会社も使えば、あるいはアフリカにまで手を出しているわけですから、「地域限定」どころか、ジャーナリストの大谷昭宏さんがいっていましたけれども「北の宿から南のダムまで」、アフリカまで手を伸ばしているわけで、そういう意味では“グローバル汚職”といいますか、そういう利権のつくり方をしてきたというところが、今度の事件をみるうえで、たいへん大事だと思います。

自分の息のかかった企業にうまみ与え、「税金還流」

 「北方四島支援」や「アフリカ支援」をめぐって、いろんな企業がかかわって、そこから企業献金をもらっています。

 一つは、鈴木宗男議員の「北方四島に対する人道援助」事業受注業者からの献金です。

 六年間で計九社、四千五百六十八万八千円ということですから、だいたい一社あたり平均すれば五百万円規模になるわけで、非常に巨額な献金が見返りとして行われているということです。明らかにこれは「税金の還流」「見返り献金」というふうに言っていいと思います。

 鈴木議員がよく、「こういう企業(から)は前から献金をもらっていた」という釈明していますが、だから問題なのです。つまり、前から献金をもらっていたというのは、前から鈴木議員と深く結びついていた企業なのです。そういう企業にうまみを与えるために、国後島(くなしりとう)の仕事や「北方四島人道支援」の仕事を与えていたわけです。前から献金をもらっていた企業、自分の息のかかった企業をそういう事業に加わらせていったというところが重大で、まったく弁明になっていないということも、あわせて指摘しておきたいと思います。

 アフリカ支援についても、十二社で七百二万円という額に、六年間でなっています。私たちもまだ、ゼネコンなどしか調べてないものですから、さらに調べれば新しい献金企業がでてくる可能性もあると思います。

 鈴木議員については、「北方四島支援」だけでなく、アフリカへのODAの問題、沖縄サミットをめぐる問題があります。引き続き追及の手をゆるめずに徹底追及していきたいと考えています。

 


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