2002年2月25日(月)「しんぶん赤旗」
日本共産党の筆坂秀世書記局長代行は二十四日のNHK「日曜討論」に出席し、外務省をめぐる鈴木宗男衆院議員の疑惑や日米首脳会談などについて与野党の幹事長と討論しました。他党の出席者は、自民党・山崎拓、公明党・冬柴鉄三、保守党・二階俊博、民主党・菅直人、自由党・藤井裕久、社民党・福島瑞穂の各氏。司会は、山本孝NHK解説委員。
討論では「北方四島」事業などをめぐる鈴木氏と外務省の疑惑解明がテーマになりました。
山崎氏は、鈴木氏らの証人喚問について「外務省の調査結果をまって、結果次第で国政調査権発動の対応について話し合いたい」、冬柴氏は「疑惑を受けた議員はすすんで政治倫理審査会へ出て説明すべきだ」とのべました。筆坂氏は次のようにのべました。
筆坂 いま、与党のお二人の話を聞いていて、全然ことの重大性がわかっていない。私たちは、まず最初に「北方四島」支援にいかに鈴木宗男氏がかかわってきたか、しかも、それを私物化して、そこから税金の環流を受けていたかを暴露した。その後にそれを裏づけるものとして(外務省の)マル秘文書が出てきた。私たちが暴露していたことが、まさにその通りやられていたということです。
二つ目には、外務省がいま調査しているというけれど、外務省はこの事件の当事者であり、いわば共犯関係なんです。鈴木議員の息のかかった企業にどううまく落としていくか、これは全部、外務省と鈴木議員が相談して決めている。
ですから、これを本当に解明しようと思えば、外務省まかせにはできない。国会が鈴木議員だけでなく、外務官僚も含めて証人喚問もやって徹底的に真相究明する。これは日本の外交、国益にかかわる大問題だという位置づけが、与党の側には非常に希薄であると思います。
この後、野党の証人喚問要求に対し、与党側は“予算を人質にとる政略的なやり方だ”などと発言。山崎氏はNGO排除問題で鈴木氏の関与の有無は本質的な問題ではないとのべました。筆坂氏は次のように反論しました。
筆坂 あまりにも危機感が欠如している。私たちが今度、暴露した内部文書というのは、国後のいわゆる「ムネオ・ハウス」についてです。彼がかかわってきたのは、それだけでなく、「北方四島」支援すべてです。アフリカへのODA(政府開発援助)もそうです。これらにすべてかかわってたんです。恐らく同じような文書があらゆるプロジェクトについてあったと思う。この機会に、外務省は鈴木関連の対外支援について、こういう文書があったかどうか全部洗いざらい出さないとだめです。
いまの実態からいうと、あの鈴木議員一人のいいなりになっているような外務省がどうしてろくな外交ができるか。
そんな人物が、あのNGO出席拒否問題に介入していないわけがないじゃないですか。状況証拠から見て完全にクロですよ。もっと危機感を持っていまの外務省のあり方について対応しないとだめです。
司会者が「鈴木氏がNGOに直接、言及したことはないという一方で、役所が忖度(そんたく)したのかもしれないと言っているがどう考えるか」と質問。冬柴氏は「非常に正確な表現だと思う」とのべました。筆坂氏は次のようにのべました。
筆坂 要するに一番大切なことは鈴木氏が直接いったかどうかではないんです。彼がまさにいったように、忖度したということが大切なんです。つまり、そこまで外務省は鈴木議員の意向に逆らえない、忖度してしまう、そういう関係が問題なんです。こんな外務省がありますか。
討論は日米首脳会談に移りました。ブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言を小泉純一郎首相が「テロに立ち向かうという決意表明だ」と評価したことについて、筆坂氏は次のように発言しました。
筆坂 大問題です。「悪の枢軸」論というのは、あらゆる選択肢を排除しない、つまり一方的軍事攻撃もあり得るという宣言なわけです。
ですから、ヨーロッパでもすごい批判でしょう。フランスのジョスパン(首相)も“一国行動主義だ”という批判をしています。イギリスも“われわれはアメリカの同盟国だ。しかし、同盟国だからといって、アメリカにどこまでもついていく、利用されるカモではないんだ”ということをはっきりいっています。同盟関係を結んでいる国だって、“そんなアメリカのいいなりにはなりませんよ”という態度をヨーロッパの国は非常に鮮明に打ち出しています。
しかし、そのなかで小泉首相は全面支持です。こんな態度をとっているところはありませんね。
アメリカがどんな大国だとしても、国連憲章上も国際法上も、どこの国をいつ攻めてもかまわないなどということは認められていないわけです。いってみれば“国際法のルールを私たちはいつでも平気で破りますよ”という宣言を支持する立場を小泉さんがとっている。これは大問題だと思います。
米国がイラクへの軍事攻撃をした場合の日本の対応について、山崎氏は「アルカイダ撲滅という目的から大きくはずれた行動を米軍が取る場合、新しい法律をつくって協力する」とのべました。
最後に、不良債権処理の問題が取り上げられ、筆坂氏は次のようにのべました。
筆坂 不良債権の処理を何もやらなかったのではないんです。やってきたけれども、それ以上に新たな不良債権が出てしまうから、減らないということになったわけです。その結果「デフレ状態」といわれる事態になっているわけでしょう。
ところが、この前も「デフレ対策」として(政府が)打ち出した策は、自民党のなかからも“これは「デフレ対策」ではなくて加速策だ”と批判が出ているようですが、その通りだと思うんです。不良債権処理をあれだけやれば、倒産、失業が増えるのは当たり前ですから、「デフレ状態」をますます悪化させるだけです。
(司会者から「どうすればいいと思いますか」と問われ)私は、需要をふやす、需要を増やすには、国内総生産(GDP)の六割を占める個人消費をどう活気づけるか、だと思うのです。その点では、まず雇用をしっかり守る、それから社会保障をしっかりする、そして、消費税の減税をこの機会に思い切って検討すべきだと思います。
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