2002年3月2日(土)「しんぶん赤旗」
小泉内閣がねらう医療改悪に国民の怒りが噴き出しています。埼玉県や北海道などでは、百数十万枚のビラ宣伝や医師会、老人会、町内会などへの申し入れ、地域集会、デモをくり広げ、共同が大きく広がっています。
埼玉県では、二月二十日を軸にした地域総行動(埼労連や地域実行委員会で構成)に過去最高の一万三千人が参加、百三十万枚のビラ配布や八十六カ所の地域集会、ちょうちんデモ、シンポジウムと多彩に行動しています。
「その日、配った地域がわかるほど、反響が返ってくる」(埼労連事務局)というほど連日、メールやファクス、電話でビラの感想や意見、要望が寄せられています。たとえば――。
「小泉内閣は痛みを分かち合うというけれど、もう私には限界です。夫は何回も賃下げされ八万円も減収。アルバイトを始めたが、きつい仕事で病気になり病院通いです。医療費の負担増で病院にもいけなくなってしまう」(秩父市・女性)
「郵便受けのビラを見ました。本当に書いてある通りです。自分たちが何をしなければならないか考えを聞きたい」(さいたま市、男性)
地域集会も各地で盛況です。県北部の加須市では、集会の実行委員会に医師会役員が出席、埼玉土建加須支部、日本共産党、医師会、連合労組などで構成し、二月二十六、二十七の両日に加須と初開催の大利根、北川辺、騎西の地域集会に、のべ二百三十人が参加しました。
県南の川口市では、町内会長や老人会長、医師会、開業医に医療改悪反対の署名を送りました。「署名が集まったが、どうすればいいか」という電話が何本もかかってきたり、医師会役員が「医療改悪にはわれわれも反対。趣旨に賛同します」と表明しました。
二月二十日、十三コースで行ったちょうちんデモでは、マンションの住人がベランダで九〜十人と鈴なりで見物し、「がんばれ」と声援、拍手を送りました。ある医院では、下ろしたブラインドを開け、「デモをやってるよ」と職員を手招きする看護師さんの姿もありました。
川口地区労(埼労連加盟)の高橋精二副議長(47)は「開業医や老人会への申し入れでは、『こういう行動は、本来なら私たちがやらなければいけないのに』と共感が広がり、連合労組役員も『集会には参加できないが、私たちの分もがんばってほしい』といって、署名に協力してくれています」と話します。
三千二百五十四の労組・団体に申し入れた埼玉土建本部では、二百五十を超える医療機関から意見書への賛同や署名が寄せられています。
東京都に接する和光市では、二十六日に開かれた「医療制度を考えるシンポジウム」に市長や共産、民主、無所属の地方議員が来賓あいさつし、小泉内閣の医療改悪に反対や異論をのべました。
春日部市でも、地元の有力企業を経営している地区長が「本当にいい取り組み。ぜひがんばってください」と激励。越谷市では、ビラを見たという学生が「絶対に参加したいのですが、どうすればいいのですか」と問い合わせてきたり、駅前の宣伝で「小泉『改革』には納得できない」と飛び入りでマイクを握る市民がいました。
さいたま市大宮地域の集会・デモには親が病院を経営しているという小学生の飛び入り参加も。「父も看護師さんも『小泉さんはひどい』と怒っていました。また参加したい」と語りました。
埼労連の原冨悟事務局長は「小泉『改革』の正体がいよいよはっきりしたなか、『大変だ、何かしなければ』という声が広がり、変化を実感します。思いっきり行動していく」と話しています。
北海道でも運動が広がっています。
北海道勤労者医療協会も加わる道民医連は二月二十八日、全道いっせい行動を実施。署名を訴えるとどこでも怒りの声があがりました。
札幌病院(札幌市)の職員や友の会の人たちは、菊水フードセンター内で血圧健診・署名にとりくみました。買い物にきた客に次々と署名を訴えると、一時は行列ができるほど。二百人が血圧や体脂肪測定を受け、百六十人の署名が寄せられました。「医療費での年寄りいじめは許せない」と六十七歳の男性。ある女性(64)は「以前は、月一万円もかからなかった医療費が今は一万円でも足りない。バス代までかけて、償還払いの手続きにいくなんてとてもできません」と怒ります。
月寒医院(同)の職員は、開業医を訪問しました。ある循環器科の病院事務長は、「うちの入院患者はじいちやん、ばあちゃんが多くて、なかなか退院させられないんだよね。診療報酬の改悪は頭が痛い」。ある眼科医院では、「こんなに深刻なのに、医療改悪は困ったものだ」と事務長が話し、署名を引き受けました。
中央病院(同)では、小集会を開きながら地域の七百五十戸を総訪問。対話すると「病院にいけなくなる。早く死にたい」、「鈴木宗男議員は許せない。税金を無駄遣いしておきながら、医療費をあげる」と、どこでも怒りの声。七百四十九人分の署名が寄せられ、「しょうがない」と断った人は一人でした。
札幌西区病院(同)では、二十七日に職員が地域の老人クラブ会長宅を訪問して訴えました。老人クラブの会長は「自民党はうんざりだ。医療を守ってもらうために署名を会員にすすめるよ」と話しました。
北海道社会保障推進協議会も運動を広げています。
「政府の『医療改革』についてどう考えますか」のアンケートはがき付きのビラを作成、百三十万枚を新聞折り込みや地域配布してきました。これまでに寄せられた回答は三千七百枚を超えます。そこには小泉内閣への痛烈な批判が―。
「小泉さんを応援したのは、もう少し弱者に優しい政治をしてくれると思ったから。まるっきり正反対ですね」(小樽市)
「小泉さんに期待してたのは、必要でない道路工事や高級官僚の天下り先の法人改革、各省庁の不正でした。ところが、一般庶民に痛みを押しつけておいて、やるべき改革はなにもせず美辞麗句だけだ」(羽幌町)
「痛み分けとかいっているけど、やっていることは『痛み与え』だ」(江別市)
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