2002年3月4日(月)「しんぶん赤旗」
日本共産党の筆坂秀世政策委員長は、三日放送のNHK日曜討論に出演し、自民党の鈴木宗男衆院議員の証人喚問問題、「デフレ対策」について各党の政策責任者らと討論しました。出演は、自民党・久間章生政調会長代理、公明党・北側一雄政調会長、保守党・井上喜一政調会長、民主党・岡田克也政調会長、自由党・藤井裕久政調会長、社民党・辻元清美政審会長。司会は影山日出夫・NHK解説委員。
野党四党が要求している鈴木氏の証人喚問について、与党側は「予算審議のときになると、喚問の話がいつも出てくる。予算審議と証人喚問は別の話」(久間氏)、「(野党は)予算を人質にとっている」(北側氏)と消極的姿勢を示しました。野党側は、鈴木氏の疑惑究明は「予算の執行にかかわる話」(岡田氏)として、予算審議の前提だと一致して主張しました。
筆坂氏は「ODA(政府開発援助)予算だとか、『北方支援』の予算だとか、これは過去の使い道じゃない。鈴木議員と結託していた外務省に、ODA予算、『北方支援』の予算の執行を委ねることができるのかが問われている」とのべ、「この真相をきちんと究明して、はじめて予算審議をすすめることができる」と指摘。筆坂氏が会ったある自民党幹部が、「たいへん迷惑をかけている」とのべていたことも紹介し、「いま審議拒否をしているのは、鈴木さんを(証人喚問に)出さない与党の側だ。われわれは予算審議をすすめるためにも鈴木さんを喚問しようじゃないかといっている」とのべました。
与党側の「予算委員会が始まると、証人喚問問題が出てくる」という主張について、筆坂氏は「与党の人がいうべきことじゃない。与党の議員からそういう腐敗した人物が出てきているわけで。あなた方が、一番責任を感じなければいけない」と批判。外務省による調査について、外務省自身も当事者であり、調査が不十分に終わる可能性が強いと指摘し、「国会がきちんと究明しなければ、国会議員と国会の存在意義が問われる」と強調しました。
議論は、小泉内閣が打ち出した「デフレ対策」に移りました。与党側は「これは第一次案だ」(久間氏)、「三月中に第二弾のとりまとめを」(北側氏)と、不十分なものであることを認めました。
筆坂氏は、次のようにのべました。
筆坂 率直にいって、やっていることが、本当に支離滅裂状態になってきていると思います。
不良債権を減らすといいながら、結果的には増えたわけでしょう。それは、経済そのものが悪いからです。つまり、(不良債権の)新規発生を抑えることができなかったから、いくらやったって増え続けた。だから、「デフレ」なんですよ。
そのときに、不良債権の処理を促進しましょうというと、「デフレ」を加速させるだけです。
金融対策も、もう、どうしようもないぐらい、超金融緩和政策をとってきました。資金はジャブジャブです。この前、短期国債一・五兆円募集したら、何と四百七十兆円応募があったんですからね。ものすごいお金が余って、しかし、中小企業にはまったく流れない。中小企業のところでは、超貸し渋りと貸しはがし。つまり、一方で超金融緩和をやりながら、「不良債権処理、不良債権処理」というから、現場では超金融引き締めになっている。この支離滅裂さをなくさないと、どうにもならないと思います。
銀行への公的資金投入をめぐり、与党側は「金融システムが大変だということになったら、公的資金を突っ込む制度がある」(久間氏)、「三月の間で公的資金投入も全然ないとはいえない」(北側氏)と発言。野党側からも「三月までに公的資金投入を含めて金融を安定させるべきだ」(岡田氏)と、公的資金投入を容認する発言が相次ぎました。
筆坂氏は、次のように指摘しました。
筆坂 公的資金投入というのは、「デフレ加速策」になります。なぜかといえば、要するに“後顧(こうこ)の憂いなく、不良債権を一気に処理しなさい”ということでしょう。不良債権を処理すれば、自己資本を毀損(きそん)するから、公的資金を注入しますよという話です。
結局は、不良債権処理を一気にすすめ、倒産・失業を増やすということになるわけですから、この公的資金投入というのはいただけないと思います。
いま真剣に目を向けるべきは、昨年来、五十五の信用組合、信用金庫が倒産、破たんしている問題です。これは、中小業者にとっては大変です。自分たちの金融の道を本当に断たれていますから。
しかも、つぶし方が、金融庁が大銀行を検査するのと同じマニュアル、いわば“グローバルスタンダード”、BIS(国際決済銀行)基準でやるわけです。ある意味では、無理やりつぶしている。このやり方を改める。当然、地域金融機関にふさわしい基準をつくって、それで検査するというふうにやらないと、地域金融はいまもうズタズタですよ。金融問題なら、ここに直ちにメスを入れるべきだと思います。
RCC(整理回収機構)による不良債権の買い取りについて、久間氏は「どんどんすすめるべきだ」とのべ、安い価格でしか買い取れないこれまでの仕組みではすすまないから、もっと高く買い取れるようにしたと発言。筆坂氏は「高く買って、RCCに穴があけば、最後は税金ということになるわけで、ほんとうにいただけない対策だ」と批判しました。
景気対策と不良債権処理との関係をめぐり、久間氏も「不良債権は、景気をよくしないと、次から次へと出てくる。景気をいかに拡大して消費を拡大するかだ」と認めました。筆坂氏は、次のように指摘しました。
筆坂 やはり、暮らしに軸足を置く方向に、切り替えるというのがカギで、三つあると思います。
一つは、やはり雇用です。いくら「セーフティーネット」だといっても、それ以前に、失業する人を減らす、雇用を確保することにもっと力を注ぐ。EU(欧州連合)などでは、大企業の社会的責任を非常に強く求めている。
もう一つは、将来不安が消費を委縮させるわけですから、医療保険の(本人)三割負担は絶対やめる。
三つ目は、いまエコノミストやアメリカや財界筋からも、消費税の減税を、という声があがりつつあります。これは、思いきって検討すべきです。どういう効果があるかといえば、いままで例えば百万円のものを買えば百五万円だった。(消費税率を下げて)3%にすれば二万円分、別の商品の購入に回る。それだけ購買力を引き上げて、需要を増やすわけです。そういう効果がありますから、思いきって検討すべきだと思います。
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