2002年3月5日(火)「しんぶん赤旗」
日本共産党の筆坂秀世書記局長代行が、四日おこなった外務省報告にかんする記者会見の大要を紹介します。
一、今日、発表された外務省の調査報告だが、全体の特徴としては、動かぬ証拠を付きつけられたものはしぶしぶ認める、そうでないものは、口をつぐむ、あいまいにする、徹底的な究明をしないというのが大きな特徴になっている。
しかし、そういうなかでもわが党が追及した「ムネオ・ハウス」の問題、あるいは国後島(くなしりとう)の桟橋改修問題については、私たちが内部文書も示し、追及したということもあって、鈴木宗男議員の関与、外務省がいかにこれに屈服してきたかを明りょうに認めた。この点では、外務省の伏魔殿ぶりの一端が外務省調査によっても裏づけられた。
「ムネオ・ハウス」の問題についていえば、鈴木議員は参考人質疑で業者選定も含め介入してこなかったといってきた。この鈴木議員の答弁が明らかに事実を語っていないということを、この外務省報告でも認めたわけだから、いま私たちが要求している鈴木議員の証人喚問の必要性はますます高まったといわざるをえない。
一、もう一つ「北方四島」支援についていえば、そのほかにはしけ、ディーゼル発電所、燃料供給の三つがあがっているわけだが、最終的に業者選定には鈴木議員が関与した証拠は確認できなかったというだけで、それぞれについて鈴木議員がかかわっていたと、関与そのものは否定できなかった。
そういう点では、やはり「北方支援」全体が鈴木議員の介在、食い物にされてきたことを今度の外務省報告は、間接的ではあるにしても認めざるをえないものになっているということが第二点にいえる。
一、三つ目に重大なのは、コンゴの大使を決める問題だ。外務省の調査報告を見ても、これまで鈴木秘書のムルアカ氏が関与してきたことは認めていたわけだが、今度の報告ではこれに鈴木議員がかかわってきたことを認めた。
しかもその中身が非常にひどい。新しく、任に就こうとした人物の評価までして資質がどうだということまで言及する。本来どういう外交官をその国に置くかということは、派遣国の自由な意思によって決まるというのが「外交に関するウィーン条約」第七条でも決まっていることだ。
これは驚くべき、いわば他国の主権に対する介入までやっていたということになってくる問題だ。そういう点では、私たちこの問題は日本の外交・国益にかかわる問題という位置付けをしてきたが、コンゴ問題での報告を見ても、そのことが改めて証明されていると思う。
一、大きな欠陥としては、ODA(政府開発援助)問題、とくにケニアのソンドゥ・ミリウ水力発電所をめぐる問題については「疑惑はなかった」という調査結果になっている。しかし、コンゴへの介入を見ても、アフリカ関係で十六の議連会長をやっているということから見ても、ODAについてはいっさい疑惑なしというこの調査報告は到底、信用ができない。
一、全体としてみた場合、鈴木議員の参考人招致の際の答弁と、この調査報告の食い違いの問題がある。そして、この問題で大きいのは、外交をねじまげ、私物化してきたというだけでなく、海外援助を食い物にしてきたところにもう一つの大きな問題がある。政治献金の調査まで外務省はできないかもしれないが、国会がその責任をはたしていく必要があるし、外務省報告では、確認できなかった面、あるいは疑惑なしとされた面についても国会の果たすべき役割はますます高くなっている。そういう点では証人喚問、あるいはこの報告を受けての予算の集中審議を徹底してやる必要がある。
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