2002年3月7日(木)「しんぶん赤旗」
「外務省はムネオ省か」――こんな質問が飛び出すほど、「鈴木疑惑」をめぐる新事実が次々と明らかになっています。相次ぐ新事実に、小泉首相も「よく調査する必要がある」と繰り返さざるをえませんでした。〇二年度予算案の年度内成立を急ぐ政府・与党。予算そのものにかかわる重大疑惑の徹底解明ぬきに、予算執行を政府に任せるわけにはいきません。
「北方四島支援事業」では、発注者の「支援委員会」が、工事代金に消費税が課税されないことを知りながら、二億六千八百万円以上の消費税分を上乗せして受注業者に支払っていたことが明らかになりました。日本共産党の木島日出夫議員が追及したものです。
巨額の税金が食い物にされた疑惑ですが、外務省は「なぜ是正されなかったかよく分からない」(斎藤泰雄欧州局長)とのべるだけで、真相は依然ヤミの中です。
九五年の色丹島仮設診療所の建設をめぐり、鈴木議員が当時の河野洋平外相に直接、建設を働きかけていた事実も判明しました。斎藤局長が答弁で明らかにしたものです。
鈴木議員は、色丹島への仮設診療所建設を強く求める国会質問を行った翌日、九五年六月一日に、河野外相と会食。鈴木氏が「昨日の委員会でも質問したが、ぜひ早期に建設してもらいたい」と働きかけました。
答弁では慎重姿勢を示していた河野外相ですが、この場では「速やかに着手する」と応じ、同年六月に建設が決定。日ロ領土問題への鈴木氏の介入を示す新事実です。
「北方四島支援事業」の工事発注者となっている「支援委員会」についても、不明朗な実態が浮かび上がっています。
ロシア側からの支援要請が、「支援委」ではなく、直接、鈴木議員側に行われていた疑惑が飛び出しました。「南クリル地区長」が鈴木議員にあてて送った、ラジオ放送設備などを国後島に支援するよう求める書簡を民主党議員が委員会に提出。書簡は「尊敬する鈴木さん」で始まっています。
鈴木議員が、国後・択捉両島での電力事情予備調査に、「顧問」として参加していたことも判明しています。「支援委」が、専門家でもない鈴木議員に顧問を要請し、旅費を負担したものです。
こうした疑惑に包まれた「支援委」には、〇二年度予算案でも、十億五千二百四十一万円の拠出金が計上されています。
塩川正十郎財務相も予算執行に関し、「外務省とよく相談し、内閣で協議し決定する」(五日)とのべ、関連予算の執行見直しを表明せざるをえない事態に至っています。
鈴木議員が、北海道の農地整備事業をめぐり、当時の北海道開発局の担当者に圧力をかけ、事業を凍結した疑惑も飛び出しました。
日本共産党の児玉健次議員が委員会に提出した開発局担当者の記録文書(九八年八月十三日付)には、「予算執行をS先生からの凍結解除が出されるまで見合わせる」などと明記されていました。扇千景国交相は、鈴木議員の圧力があったことは「濃厚だ」と認め、十二日にも調査結果を報告すると約束しました。
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