2002年3月9日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党の筆坂秀世書記局長代行は八日、国会内で記者会見し、自民党元幹事長の加藤紘一事務所の佐藤三郎前代表が脱税の疑いで逮捕されたことについて、「加藤元幹事長の責任は非常に重大であり、証人喚問は避けられない」とのべました。
筆坂氏は、「この問題は、公共事業を食い物にし、巨額利得を得ていたという疑惑だ。巨額脱税というだけで終わる問題ではない」と指摘。佐藤容疑者が、加藤元幹事長の資金管理団体や政党支部の会計責任者などを務め、加藤氏を一心同体で支えてきた関係にふれ、「加藤元幹事長と無関係だと思う人はだれ一人いない。強い決意で証人喚問の実現を要求していきたい」と強調しました。
また、前民主党副代表・鹿野道彦衆院議員元秘書の尾崎光郎容疑者が幹部を務める「業際都市開発研究所」をめぐる「口利き」疑惑について、「徳島県知事も逮捕されるなど、業際研グループによる公共事業口利き疑惑も全国に拡大している」と指摘。「こちらの関係者の証人喚問も強く求めたい」とのべました。
加藤紘一・自民党元幹事長の前事務所代表・佐藤三郎容疑者が脱税の疑いで逮捕された問題で、山崎拓・自民党幹事長は「加藤氏本人の問題ではない。加藤紘一という政治家に対する信頼感は、揺らいでいない」などとかばい立てをしています。小泉純一郎首相も「加藤さんも残念だろうな。加藤さん本人は苦悩していると思う」などとのべています。
しかし、佐藤容疑者の疑惑は、有力政治家の「金庫番」という地位を利用し、公共事業を食い物にした“口利き”事件です。直接の容疑対象も、加藤氏の支援企業から「協力金」名目で集めた資金と、公共事業での口利きの見返りとして集めた資金の脱税です。背後に政権党の元幹事長という存在がなければ成り立たない犯罪なのです。
そのうえ、加藤氏自身が佐藤容疑者は、「私に大変尽くしてくれた人」とのべているように、文字どおり二人三脚の関係でした。佐藤容疑者が事務所代表についてから、加藤氏の政治資金団体・社会計画研究会の政治資金収入は倍増し、九四年から二〇〇〇年までの総額は約三十一億円にのぼります。とくに、加藤氏が総裁選に出馬した九九年には過去最高の五億五千五百万円に達しました。政策季刊誌『雲霓』の広告主企業にも公共工事関連がずらりとならんでいます。
佐藤氏は、こうした加藤氏への政治資金集めと一体に、自らも口利き料を得ていたもので、加藤氏の責任は免れません。国会の証人喚問に応じて真相を明らかにすべきです。
小泉、山崎両氏は加藤氏と「YKK」といわれる“政治的盟友関係”を結んできました。しかし、両氏は現在、首相・党総裁と最大与党の幹事長という役職についています。盟友関係をたてに、加藤氏をかばいだてするなら、同罪といわなければなりません。
(藤田健記者)
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