日本共産党

2002年3月12日(火)「しんぶん赤旗」

ムネオハウス入札介入疑惑 核心に迫る

参加資格は、あなたが決めた

佐々木憲昭議員の追及

 全国が注目した十一日の鈴木宗男衆院議員の証人喚問。日本共産党の佐々木憲昭議員は国後島の「ムネオハウス」入札介入疑惑の核心にせまりました。要旨を紹介します。


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尋問する佐々木憲昭議員=11日、衆院予算委員会

受注企業からの献金が急増

鈴木証人「年ごと協力あった」

 佐々木議員 私は二月二十日の参考人質疑の際に、外務省の内部文書を明らかにして、あなたが「友好の家」、いわゆる「ムネオハウス」の入札に深く関与していた事実を指摘しました。その後、外務省の調査報告書では、文書の存在を確認し、深く関与していたことを認めたわけであります。

 ◇   ◇

 佐々木議員が明らかにした文書は、「国後島緊急避難所兼宿泊施設(メモ)」(九九年五月二十八日)。この文書は、入札公告の条件について外務省の担当者が鈴木氏に説明した際のやりとりを報告したもの。鈴木氏は、入札参加資格を低いBランクで「根室管内に限定してどうか」と発言していました。この経過について外務省の調査報告書(四日)は鈴木氏が「本案件の入札参加資格に深く関与していた」と結論を出しました。

 佐々木 問題は、この入札参加資格決定過程でありました。しかも、これらの事業を受注した企業からあなたに対する政治献金が増えていることであります。

 例えば渡辺建設工業は、九七年の五十万円から九八年の百五十万円、九九年の二百五十万円と増えております。これは明らかに受注に対する見返りと思われるわけですけれども、それは事実ですね。

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佐々木議員の尋問を聞く鈴木宗男議員=11日、衆院予算委員会

 鈴木議員 私自身、依頼も受けたこともありません。同時に私自身が献金をいかほどしてくれというお願いもしておりませんので、ぜひ誤解のないようにしていただきたい。

 佐々木 前からのお付き合いだったとおっしゃっていました。私はだから問題だと思うんです。献金を受けてきた企業に仕事をつくってやった、そういう関係があったのではないか。

 具体的に、お聞きをします。「ムネオハウス」のしゅん工式が、九九年の十月二十四日に行われました。その帰りの船の中であなたは、地元の作業員がほとんどいなかったことに激怒し、同行した外務省欧亜局職員を怒鳴りつけ、調査を命じたと(外務省報告に)書かれております。

◇   ◇

 「ムネオハウス」の工事は、受注した渡辺建設工業、犬飼工務店から横浜に本社がある「日揮」に丸投げされたため、地元の作業員はほとんどいませんでした。このことに気づいた鈴木氏が激怒し、「同行した(外務省)欧亜局関係者を怒鳴りつけながら、事実関係を徹底的に調べるように命じた」と外務省報告書に書かれています。

 佐々木 こうしたことから渡辺建設工業にその後(二〇〇〇年三月六日)、二千三百七十四万円の追加支払いが実施されております。あなたが激怒した翌日、(九九年)十月二十五日に渡辺建設工業から、五十万円の政治献金が渡されております。また二カ月後の十二月二十一日には、百万円の政治献金が渡されております。明らかに、これらの献金は工事受注へのお礼ではありませんか。

 鈴木 帰りの船の中で怒鳴りつけたという話がありますが、私の言葉に問題があれば反省しなければいけないと思いますが、ただ、私は受け止めた側の認識というのが多分に入っていると思っておりますので、決め付けは、ぜひともしてほしくないと思います。

 同時に、追加工事のあった二千数百万円ですか、これは私はまったくタッチもしてもいません。同時に、佐々木議員から当委員会で、私の政治資金報告の過去六年間分ぐらいの資料が出たと思いますが、その中で渡辺さんは毎年、五十万、定期的に入っておったと思います。

 自由民主党の方に関しましては、この入金の日にちだとか、記述なんかでは差がありますけれども、会費といいますか、その年ごとの協力があったと認識をしております。

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 鈴木氏は、渡辺建設工業からの献金について、定期的に五十万円、党支部の方に「その年ごとの協力」などとあいまいな表現をしています。鈴木氏の資金管理団体「21世紀政策研究会」への献金は毎年限度額いっぱいの五十万円ですが、鈴木氏が支部長をつとめる「北海道第十三選挙区支部」への献金は、「ムネオハウス」を受注した九九年には二百万円(二月の百万円と、佐々木議員が指摘した十二月の百万円)にはねあがっています。佐々木議員は、これを「見返り」と指摘したのです。

 佐々木 質問に直接答えていただけないのは非常に残念です。自民党といっても、それは、あなたの支部でありますからね。

実績あるのは渡辺建設工業1社のみ

鈴木証人「外務省の枠で了解」

 佐々木 次に、いわゆる「ムネオハウス」でありますが、九九年五月二十七日、あなたはこの入札公告に関して外務省関係者から参加資格について説明を受けた。その際、根室管内に限定してはどうか、根室管内にB以上は何社か、と聞いています。そのあと、ただちに支援委員会、外務省が調べたら、根室管内のB以上は一社のみ、渡辺建設工業ということでありました。この報告をあなたは外務省から当然受けていますね。

 鈴木 あの、佐々木委員の質問の際のメモで私はあのときのやりとりというものが分かったんですけれども、私自身、根室管内に何社あるのかというお尋ねをしました。先方もそのお尋ねにたいしては分からなくて持ちかえったというのが、あのメモの詳細でなかったかと思います。

 そのあと、外務省の方が当然、説明に来たと思いますが、その説明がいつであったのか、同時に私はその説明の際は、外務省が決めたルールといいますか、外務省が決めてきた枠組みで私は了解をしているのではないのかな、こんなふうに認識をしております。

 佐々木 質問にたいして(答えてください)。渡辺建設工業一社ですという回答があったんですか、なかったんですか。

 鈴木 そういう個別の業者の名前を、説明を受けたという記憶はございません。あと、また、どう思い出してもですね、説明はあったかと思いますけれども、個別具体的な企業の説明を私は受けたかというとですね、思い出すことはできません。

 佐々木 肝心なことになると忘れる。非常に問題だ。これぐらいのことは当然覚えているはずなんですね。最終的に入札公告は北海道に本社があって、根室管内で十分な施工実績があるものと、こうなりました。この要件に該当する会社は渡辺建設工業だということは当然、ご存じですね。

 鈴木 まったく、そういった認識をもっておりませんでした。

 佐々木 われわれの調査では渡辺建設工業しか、実績のある会社はありません。平成七年(一九九五年)、八年、九年、十年、十一年、ずっと調べました。五年間、三十六件の官公庁発注実績があります。ここに全部資料がありますけれども、この資料によりますと、すべて三十六件、渡辺建設工業しか根室管内で仕事をしていない。つまり、北海道内に本社があろうが、根室管内に本社があろうが、根室管内で実績のある会社、公告によって決められた要件に該当するのは渡辺建設工業しかない。これは当然、この地域のことをよく知っているあなたは、ご存じだと思いますがいかがですか。

 鈴木 佐々木委員の質問を参考人招致のときから聞いておりますと、どうもそちらの方向にもっていきたいがゆえの話でありますけれども、私自身その認識は持っていなかったということ。あと、個別具体的な企業の話はしていないということは調査書のなかでもはっきりしているわけですから、ぜひとも、その点は明確にしておきたい。

 佐々木 聞いたことにだけ答えてください。外務省調査報告書では入札参加資格案として、同議員に説明し、同議員はこれを了承したと書かれています。これは極めて重大です。根室管内に限定する、根室管内で実績のある会社に限定する。これはつまり、入札資格参加を事実上、あなたが決めたということと同じなんです。そうじゃありませんか。

 鈴木 外務省の調査報告書にもありますし、私が、五月二十七日、やりとりした通りの結果には(入札公告は)なっておりません。これはきちっと、入札の公募の際、明確でありますから、どうぞ佐々木先生、その点を比較していただきたい。

◇   ◇

 鈴木氏は、報告書のなかで、受注した二社以外に「入札参加資格を有する」三社が入札説明会に参加したと書いていることをさして、入札への介入を否定しようとしました。しかし、八日の参院予算委員会で日本共産党の筆坂秀世書記局長代行がすでに指摘したように、そもそも三社は入札参加資格がなく、鈴木氏の後援業者二社が受注できるようにするための“偽装”であったことが明らかになっています。

 


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