2002年3月13日(水)「しんぶん赤旗」
日本共産党の小池晃議員が十二日の参院予算委員会で行った、「北方四島」支援事業の自航式はしけと、「ムネオハウス」の入札介入疑惑についての論戦のハイライトを紹介します。
質問する小池晃議員(右)=12日、参院予算委員会 |
小池晃議員 支援事業で建造されたはしけ・希望丸の入札問題です。国土交通省にうかがいますが、北海道開発局で船舶の製造の場合Aランク、Bランクの企業が受注できる価格はいくらになっていますか。
林延泰北海道局長 Aランクの場合の発注標準の金額は千五百万円以上、Bランクは三百万以上、千五百万未満です。
小池 当時、Aランクの企業は北海道で何社ありましたか。
林 船舶関連ということで拾い上げましたら、三十三でした。
小池 根室造船は入っていますか。
林 入っていません。
小池 根室造船はどのランクですか。
林 Bランクです。
小池 Bランクというのは三百万円以上、千五百万円未満の船しか受注できない会社です。ところが、その根室造船が一億円以上のはしけ・希望丸を受注している。なんでそんなことができたんだろうか。外務省にお聞きしたい。希望丸の入札参加資格はどのランクと示したのですか。
斎藤泰雄欧州局長 AまたはBに格付けされたものです。
小池 大変おかしいと思うんですね。参加資格ランクAだったらわかるんですよ。一億円の船つくるんですから。ところが、Aだけじゃなくて、今度の入札参加資格はBランクも参加できた。一億円以上かかるような船を千五百万円未満の受注しかできない企業も参加できるよう設定して、結論としてはBランクの根室造船が受注したんです。友好丸もまったく同じなんですね。友好丸は一億八千万円。これは、入札参加資格のねじまげですよ。なんで、AまたはBとしたのですか。
斎藤 報告書(四日)のなかで希望丸について、当初の審査基準を一部緩和したことを示唆する文書があると記載されています。調べたところ、支援委員会事務局の文書として、競争参加資格審査結果報告書というものがありまして、そのなかに、「なお、審査の過程において地元企業も競争に参加させるべきとの政策判断にもとづき、当初の審査基準を一部緩和した経緯があります」という記述があることが分かりました。それから、審査基準を一部緩和いたしました際に、根室造船が念頭にあったことをうかがわせる手書きの書き込みのある文書が存在しています。
小池 重大な事実ですよ。根室造船にやらせるために、入札参加資格をねじまげたんですよ。いまの文書ただちに提出していただきたい。決定過程において、根室造船になんとか仕事をまわしたい。そのためには、Aランクという資格ではだめだ。だから、無理やりBランクということに広げたわけです。この政策決定過程の変化は鈴木宗男氏の働きかけがあったからだ、と思わざるをえないんですが、どうですか。
斎藤 文書はありました。その趣旨を確認できなかったということです。
小池 この問題は徹底的に解明する必要がある。「はしけ」だって真っ黒だというふうに思う。総理、どうですか。
小泉純一郎首相 疑問があれば、その解明に外務省が努力すべきだと思います。
小池 再調査すべきだと思いますが、外務大臣どうですか。
川口順子外相 結果として報告書に経緯として鈴木議員の関与については明らかではない、というふうに書かせていただいたわけです。
小池 こういう姿勢では真相の解明はできないということを申し上げたいと思います。
小池 ムネオハウスの問題で、外務省の報告書によれば、九九年五月二十七日に鈴木宗男氏がこう言ったという記載があります。「根室管内にBランク以上(の企業)は何社か」。その後もちろん説明に行ったと思いますが、事実関係を教えていただきたい。
斎藤 検討結果を説明に行ったと理解しています。
小池 ムネオハウスの入札資格の決定について、報告書はこう言っています。当初案においては総合評定が1200点以上であることとされていたのに、入札公告では入札参加資格は同900点以上とされている。最初は1200点以上だったのが、なぜか900点以上になっている。なぜこういう変更を行ったのでしょうか。
斎藤 その経緯について明らかにするものは見つかりませんでした。
小池 なぜ900点に下げたのか、重大な疑惑があるんです。
外務省の報告書を見ると、経営事項審査における総合評点の点数は、九九年当時、渡辺建設工業は916点、犬飼工務店は906点。これで900点という意味が分かるんですよ。はしけは根室造船に落とすためにBまで広げた。今度は渡辺建設工業に落とすために900点以下に下げたということじゃないですか。
斎藤 推測の域を出ないと思います。
小池 財務大臣、いま「そういうこっちゃ」というふうにおっしゃいましたが、どうですか。(笑い)
塩川財務相 そこに非常に政治的に動いているなという感じですね。(笑い)
小池 渡辺建設工業の発注できる工事の金額は一億円以上二億五千万円未満ですね。
林北海道局長 そういうことで結構です。
小池 ムネオハウスは四億円以上。とても渡辺建設工業が受注できる仕事じゃない。これも入札基準が同じようにゆがめられたわけです。
900点まで下げたのも、鈴木議員が関与したと見るのが当然の見方だと思うんですが、総理、どうですか。
小泉首相 私も確認はできませんが、お話を伺っているとどうも変だなという気がするんですが。(笑い)
小池 ぜひ再調査すべきだと思う。
川口外相 強制権のない調査とご理解いただきたい。
小池 鈴木宗男議員は、証人喚問の中で「個別具体的な企業の話はしていない」と言っているんです。しかし、先ほどの外務省の答弁で、こういうことを説明したのは一社しかないんだと、根室管内には。そしてそれは渡辺建設工業だと説明したということにほかならない。その点でいえば、鈴木宗男さんの昨日の証言は、明らかに偽証だと思います。当委員会においても、鈴木宗男衆院議員を証人喚問するということを求めたいと思います。
機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。
著作権:日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp