2002年3月19日(火)「しんぶん赤旗」
政府・与党は、有事法制を今の通常国会で制定するため、今月末にも法案を提出しようと作業を急いでいます。有事法制を許さない国民的な世論と運動を急速に高めることが求められています。
広がりつつある有事法制への懸念や反対の特徴のひとつは、これが憲法九条をふみにじり、国民に戦争への協力を強制するもので、許すわけにいかないという平和の願いに根ざしているということです。広い市民団体、宗教者らも反対の声をあげていますが、共通して「憲法九条を守れ」が合言葉になっています。
また、陸・海・空・港湾の交通運輸関係労組二十団体が発表した声明でものべられているように、平和と輸送の安全は不可分の関係にあり、戦争協力に強制動員される自分たちの仕事と結びつけて有事法制は許せないと、告発する運動が始まっています。医療、土木、地方自治体の労働者の間でもこうした動きが広がっています。
政府は、「備えあれば憂いなし」(小泉首相)とか「国家防衛のために自衛隊が迅速・効果的に行動できる根拠規定を定めておくことはぜひとも必要」(中谷防衛庁長官)などとのべています。有事法制の本質を隠して強行するための議論です。
そもそも、日本に大規模な武力侵攻など想定されないことは、一九七九年、有事法制研究を始めたさい、当時の福田首相自身が言明したことであり、今日まで政府答弁で認めてきていることです。
それでも有事法制の「備え」をしようというのは、アメリカがアジアで戦争をはじめたら、米軍や自衛隊に戦争をすすめるための特権を与え、さらに国民をその戦争に総動員するためです。
政府は米側からの要請を受け、すでに今国会で米軍の活動を円滑化するための新法を制定する方針も固めています。ここでは、有事のさい米軍の行動に支障をきたすとされる道路交通法や海岸法、河川法、森林法、建築基準法、医療法などに関する適用除外規定を設けるなどが検討されています。
ブッシュ大統領は、報復戦争を世界各地でひろげることを公言しています。イラク、イラン、北朝鮮を名指しして「悪の枢軸」と呼び、アメリカが「悪」と決めつければ、その国を攻撃する、しかも核兵器による攻撃さえ計画しています。
この「悪の枢軸」発言にいち早く支持・協力を表明したのは、小泉内閣です。
いま、支持率を急落させた小泉内閣は、ムネオ疑惑や国民のくらし・経済の破たんに直面しいっそう矛盾を深めています。
有事法制についても、政府のごまかし・言い分を適切に批判し、国民の疑問と関心にあった宣伝・対話を強めるなら、有事法制反対の世論と運動を急速に高揚させられる新たな条件がうまれています。
二十二日に東京・日比谷野外音楽堂で全労連や国民大運動実行委員会、安保破棄中央実行委員会などがよびかけた「有事法制は許さない 3・22中央集会」が開かれます。この集会を本格的なたたかいの出発点として大きく成功させましょう。
またこの日、全国各地でもいっせい宣伝行動がおこなわれます。
職場、地域、学園など草の根を基礎に、あらゆる分野、地方で声をあげ、有事法制反対での共同を大きくひろげ、小泉内閣を包囲し有事法制のくわだてを粉砕しましょう。
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