2002年3月20日(水)「しんぶん赤旗」
「北方四島」支援事業をはじめ一連の疑惑が噴出している鈴木宗男議員への議員辞職勧告決議案をめぐる対応について、公明党は十九日、「議員の立場は重い」として、本会議での採決に反対する方針を決めました。鈴木氏の再喚問についても「乱用に当たる」(冬柴鉄三幹事長、十九日)などと反対する方針で、疑惑隠しの先頭にたっています。
なぜ公明党は、ここまで鈴木宗男衆院議員をかばうのか。
鈴木議員擁護の先頭にたってきた冬柴鉄三幹事長は、十四日の同党中央幹事会で「わが党が率先して辞職すべきだというのは行き過ぎではないか」と発言。十五日には民放テレビ番組で、民主党の菅直人幹事長から「『鈴木宗男を守る会』の事務局長」とやゆされ、テレビ局に抗議の電話をかけたものの、そこでも「鈴木氏の件については逮捕されたり、司直が捜査をしたという情報はない。この段階では(辞職勧告決議案は)時期尚早だ」とのべました。
冬柴氏の言い分は、鈴木議員が師と仰ぐ野中広務・自民党元幹事長と全く同じ。国会議員は刑事犯罪の容疑者として逮捕・起訴されたり、有罪判決を受けなければ、どんな疑惑があっても、どんなに政治的道義的責任が重くても議員に居座っていいという議論です。
しかし、鈴木疑惑で問われているのは、「北方四島人道支援」事業の私物化、領土返還交渉のねじまげ、アフリカにおけるODAの疑惑などで外交への信頼を失墜させたことです。同氏の外国人私設秘書問題も、「国益の重大な喪失」をもたらしました。しかも、疑惑は外務省にとどまらず、省庁横断的な様相をおび、国民の政治不信を一段と増大させました。
辞職勧告決議案は、そのことを指摘し、鈴木氏は議員を辞職し、政治的道義的責任を明らかにするよう求めているのに、公明党は、こうした問題にいっさい答えられません。だから、公明党は問題をすりかえて決議案を門前払いにしようとしているのです。
それにしても、自民党内からでさえ「鈴木氏が比例区で当選していることに基づき、果たして決議案を議運で上程(させずに)否決するという処理でいいのか。本会議に提出すべきだ」(中山正暉衆院議員、十九日)という意見が出ているのに、辞職勧告決議案を葬り去るために自民党と手を組むとはどういうことでしょうか。
それほどまでに政権にしがみつきたいのか、同党議員が鈴木議員から百万円の政治資金を受けていたことなど、何か後ろめたい事情でもあるのか、もともと政治倫理はどうでもいいという本性が出たのか――。いずれにしても、国民への責任より疑惑議員の地位の方が公明党にとって「重い」ことだけは確かなようです。(F)
機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。
著作権:日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp