2002年3月25日(月)「しんぶん赤旗」
今国会に提出された医療改悪法案が成立すれば、これまで窓口自己負担が二割だった人がすべて三割に引き上げられます。このなかには本人・家族をふくめて五百十三万人にのぼる退職者もふくまれています。東京都中央区の渋谷精一さん(68)もその一人。国民健康保険・退職者医療制度の被保険者です。
糖尿病と高脂血症で内科に月二回、白内障で眼科に月一回通院。月に五千四百二十円の自己負担です。三割だと約八千円になると、心配します。「入れ歯も合わなくなってきて歯科に行きたいけど、負担を考えるとためらいます。ひざも痛い。としを取れば病気になるのは当たり前。負担増は本当にきつい」
一九八四年に創設された退職者医療制度。会社や役所を退職して健康保険から国保に移り、七十歳の老人保健になるまでの人が対象です。二十年以上被用者年金をかけていたなどが資格要件。本人は窓口自己負担二割、家族は入院二割、通院三割です。
同制度は健保からの拠出金と退職者の保険料でまかなわれます。その分国保財政の負担が軽くなるという理由で同制度創設で国保への国庫負担が医療費の45%から38・5%に減らされました。それが、現在の国保財政の危機も招いているのです。
同制度の創設と同時に、健保本人の十割給付をくずして窓口一割負担を導入。「将来は、すべての保険で自己負担を二割に統一する」という改悪が強行されました。
「当時、二割にすることだって健保本人の負担増になると批判があった。それが、いまや三割で統一。まったくでたらめ。退職して健保から国保に移ると自己負担が急激に増えるから、七十歳の老人保健になる間の負担をやわらげるという理由で退職者医療が創設されたはず。その存在理由をなくす改悪」と渋谷さんは怒ります。
任意継続 退職後も2年間、健保本人と同じ給付が受けられる。保険料は現役当時の約倍額。
継続療養 退職や任意継続終了後、それまで治療を続けていた病気について初診日から5年間は健保本人と同じ給付が受けられる。
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