2002年3月26日(火)「しんぶん赤旗」
自民党の加藤紘一元幹事長が前事務所代表の佐藤三郎容疑者(脱税容疑で逮捕)と組んで集めていた巨額の政治資金。政治資金収支報告書に記載された“表のカネ”だけを見ても、機関誌広告料という名目で“脱法的”に集めるなど、なりふりかまわないカネ集めの実態が浮き彫りになります。加藤議員は、こうして集めたカネを、「総理・総裁をめざす」ために与野党に幅広くばらまいていました。
加藤氏の資金管理団体・社会計画研究会の収入は、佐藤容疑者が加藤事務所代表に就任後、二倍から二・五倍に跳ね上がりました。これまでの団体献金に加え、後援会の機関誌『雲霓(うんげい)』の発行収入など、収入源を多様化させた結果です。
佐藤容疑者が事務所入りしてから、企業関係者をメンバーとする政策勉強会「雲霓の会」が発足します。この「雲霓の会」の機関誌として九四年から『雲霓』が発行されます。その発行収入は、九六年以降、収入全体の15%から20%を安定的に占めるようになりました。
特定少数の会員に限定されているにもかかわらず、機関誌・広告料収入は年間八千万円から九千万円台で推移。一方、機関誌発行にともなう支出は二千六百万円から三千七百万円で推移し、毎年五千万円以上が加藤マネーの資金源となっていました。
日本共産党の池田幹幸参院議員が追及したように「一ページ百万円」といわれる広告料は“事実上の献金”というべきものです。
「雲霓の会」を通じた資金集めは、これだけではありません。同会は、九六年以後、年三〜四回開催し、総会が年一回開かれていました。この会があげる収入は巨額です。加藤氏が自民党幹事長や加藤派会長を歴任した九五年からの六年間で、同会開催による収入が十億三千万円以上にのぼっています。
九七年の「雲霓の会」では、昨年十月に脱税容疑で前社長が逮捕された「ライジングプロダクション」(現フリーゲートプロモーション)がパーティー券として五十万円分を購入していました。
これ以外にも、「枝豆パーティー」「加藤紘一君を励ます会」などパーティーを乱発していますが、パーティー開催にかかる支出は一千万円から三千万円程度で推移。差額がまるまる加藤マネーとして政界にばらまかれることになりました。
日本医師連盟、日本歯科医師連盟、全国不動産政治連盟、全国木材産業政治連盟などの政治団体にも多額のパーティー券を売りつけていました。
加藤氏が代表を務める山形県第四選挙区支部は、九八年から二〇〇〇年までの三年間、毎年一億〜一億六千万円の資金集めを行っていました。
九八、九九年では、地元企業からの一律百万円の献金がズラリ。九八年には、百万円以上の献金企業が七十三社、合計九千百五十万円献金し、同支部の企業献金の97%を占めました。このうち、六十六社が、すべて加藤氏の選挙区内の企業でした。
九九年も百万円以上の献金企業は四十九社で、献金額は五千九百万円。一社を除いて、すべて選挙区内の企業でした。
政治家個人への企業・団体献金が禁止された二〇〇〇年は、十万円から百万円までの献金も増大し、献金企業は二百三十七社に増大。百万円以上の献金企業も三十九社にのぼりました。
“広く薄く”の手口は、鈴木宗男議員と似通っていますが、加藤氏の場合、一社あたりの献金額が多いことと、地元企業から徹底的にしぼりとっていることが特徴です。
九八年から二〇〇〇年までの三年間で、加藤議員の資金管理団体と自民党山形県第四選挙区支部がおこなったパーティー券購入や寄付を見ると、資金提供先は自民党では橋本派、森派をはじめ、全派閥にわたっています。
二十五日の参院予算委員会で日本共産党の池田幹幸議員が明らかにしたところによると、自民党の現職議員だけで七十四人に「加藤マネー」が流れていました。森派では、安倍晋三官房副長官、中川秀直元官房長官、江藤・亀井派では江藤隆美会長、山崎派では亀井善之議員、高村派では大島理森国対委員長など、有力議員への資金提供が目につきます。
現職閣僚では、石原伸晃行革担当相に百六十万円が、中谷元防衛庁長官には千百九十六万円がわたっています。
現職議員以外にも、竹下登元首相(故人)の議員在職四十年を祝う会に百万円を支出しています。
また、一部の野党にも資金提供され、民主党の菅直人幹事長、海江田万里議員、社民党の辻元清美議員のパーティー券購入などもおこなわれていました。
【衆院議員】
赤城徳彦10万円【参院議員】
阿部正俊800万円 (千円単位は四捨五入)
※社会計画研究会、自由民主党山形県第四選挙区支部の政治資金収支報告書から作成。寄付、パーティー券などの収入含む
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