日本共産党

2002年3月27日(水)「しんぶん赤旗」

東京都の「銀行税」無効判決

都の「銀行税」判決について

筆坂政策委員長が談話


 東京地裁の「銀行税」訴訟判決について二十六日、日本共産党の筆坂秀世政策委員長は、次の談話を発表しました。

 本日、東京地裁は、東京都の「銀行税」について無効判決をおこなった。判決は、「銀行業等については所得が当該事業の担税力を適切に反映するものであり、原則どおり所得を課税標準とすべきであって、この場合に外形標準課税をすることは許されない」とのべている。

 しかし大手銀行は、この間、超低金利などで数兆円もの「所得」がありながら、ほとんど税金を払ってこなかった。つまり、大手銀行への「所得」課税が「担税力を適切に反映」していないからこそ、東京都は「銀行税」にふみきったのだと思う。

 東京都の「銀行税」が、中小企業の経営を破壊する「外形標準課税」ではなく、資金量五兆円以上の大手銀行だけを対象にし、五年間に限ったのも、まさに「担税力を適切に反映」しようとしたものだったと考える。


720億円返還命じる

東京地裁

 東京都が資金量五兆円以上の金融機関を対象に導入した「銀行税」をめぐり、都市銀行など十八行(提訴時二十一行、その後統合)が「銀行だけを対象とした課税は違法」として都を相手取り、条例の無効確認などを求めた訴訟の判決が二十六日、東京地裁でありました。藤山雅行裁判長は条例を「違法で無効」と判断、十八行に課税した計約七百二十億円の返還と、計十八億三千万円の賠償を都に命じました。さらに、支払いについては仮執行も命じました。

 条例無効確認の訴えは却下しましたが、銀行側の実質的な全面勝訴で、都側は厳しい対応を迫られます。

 藤山裁判長は、損失を差し引く前の業務粗利益を課税標準とした都の「銀行税」について「銀行業は所得こそが担税力を適切に反映するもので、外形標準課税は許されず、条例は地方税法に違反し無効」と判断。条例に基づく課税について「この上ない極めて重大な誤りがある」と述べました。

 さらに、条例を制定した都主税局長について「銀行の業務粗利益が一般企業の売上総利益に相当するとの誤った説明を行い、都議らの判断を誤らせ、ほとんど重過失に近い過失があった」と指摘。石原慎太郎都知事についても、「政府をはじめとする関係団体などが疑問を呈し適切な意見を述べているのだから、これを虚心坦懐(たんかい)に聞いたなら、条例が違法であることを十分に認識し得るのが通常で、違法な条例を成立させるに至った過失がある」としました。

 都側は「銀行はバブル期より多い業務粗利益を上げながら不良債権処理で法人事業税をほとんど負担しておらず、税の公平性が維持できないため導入した」と主張しましたが、判決は「地方税法が外形標準課税を許す『事業の状況』とは認められない」と退けました。地方税法の解釈で都側は「どのような業種に導入し、どんな課税要件を選択すべきかは自治体の立法裁量に委ねられている」としましたが、判決は「法律の範囲内でのみ課税自主権を行使できる」と否定しました。

 都の「銀行税」構想は二〇〇〇年三月、都議会で条例が可決され、四月から施行されました。銀行側は同年十月に提訴。二〇〇〇年度分の税を納付した上で昨年十一月、これを「過誤納付」として、返還などを請求に追加しました。

 


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