2002年3月27日(水)「しんぶん赤旗」
国立大学制度を解体し、十二万五千人の全教職員を「非公務員」化、学長の権限を強化し、学外者を大幅に大学経営に参画させる――。国立大学の独立行政法人化を検討してきた文部科学省の調査検討会議(座長・長尾真京都大学総長)が二十六日、最終報告をまとめ、遠山敦子文科相に提出しました。
報告は昨年の中間報告をほぼ踏襲。外部の「評価に基づく重点投資のシステムの導入」など「競争原理の導入や効率的運営を図」るとしています。各大学は文科相が策定する中期目標にそって研究・教育を行い、その達成度を文科省内の委員会が評価。その結果は「次期以降の…運営費交付金等の算定に反映」します。
報告は、これまで明記を避けてきた教職員の身分について「『非公務員型』を選択」し、教員の「兼職・兼業」の規制緩和を盛り込みました。これは、大学自治を法的に保障してきた教育公務員特例法の適用をはずすもので、「教職員の雇用・身分保障を不安定化させ、多くの教職員の労働条件引き下げを容易にし」「学問の自由と大学の自治を破壊する」(全国大学高専教職員組合)との批判が大学人からあがっています。
報告は、学内者の自治によって運営されてきた大学の運営に、学外者を相当数参加させることとしています。教学と経営を分離し、教学は学内者による評議会が、経営は学外者を大幅に入れた運営協議会が担うとしています。重要事項は学長・副学長による役員会(学外者を必ず含む)が決定。学長の権限を強調し「経営手腕を発揮」することを明記しました。
関係者は、「国民の教育権、学問の自由を侵害し、わが国の大学における教育・研究の健全な発展を阻害するだけでなく、大学への国家管理と教育・研究の国家動員を図ろうとするもの」(日本科学者会議)と反対を表明しています。
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