日本共産党

2002年3月28日(木)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

国民負担の1兆円の小泉医療改悪 VS 日本共産党の提案示し小池議員追及

「3割負担は適正」の小泉首相 声が弱まった


 小泉内閣の医療改悪法案を追及した、26日の参院予算委員会での小池晃議員の質問。1兆円の負担増を国民に求める小泉純一郎首相にたいし、日本共産党が先に明らかにした改革「提案」を対置し、医療保険本来のあり方をめぐって鋭い論戦になりました。声高な調子をしだいに弱めていく小泉首相。質問直後から「胸がすかっとした」などの反響が相次いでよせられました。


保険料高く、3割で重症化

国保2割こそ先決

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パネルを使って小泉首相に質問する小池晃議員=26日、参院予算委員会

 首相「国保の方は三割負担なんですよ、やっているんですよ。三割というのは適正な負担」

 労働者や退職者が加入している医療保険の患者負担を三割に引き上げる改悪案。保険料引き上げと合わせ総額一兆円におよぶ負担増にもかかわらず、首相は「適正な負担」と、三度も繰り返しました。中小業者が加入の国保(国民健康保険)は三割負担だからという理由です。

 市町村が運営している国保は高い保険料のために、滞納が三百九十万世帯(二〇〇一年六月)にもなっています。高い保険料を払いながら三割という高額の窓口負担で病院通いもがまんせざるをえず、保険料滞納で保険証をとりあげられた業者のなかには、治療が手遅れになり亡くなる人も出ています。国庫負担分が削減され財政上も破たんに直面しています。

 小池議員は「三割負担で国保はうまくいっていると思っているのですか。中小業者は大変な悲鳴をあげているんですよ」とのべ、実態を見ない首相を批判。旧厚生省が国保を二割負担にして医療保険制度を一元化しようとする試案を発表していたことや、国保問題懇談会の報告(一九八七年)が「給付の公平を図る観点から、国保において八割程度の給付(二割負担程度)への改善を図ることは重要な課題」としていたことを示しました。

 「今度は国保三割だから健保も三割に引き上げよう、こういうやり方をご都合主義という。かつての方針どおり国保を二割にすることこそ先決だと思う」。

 小池議員の提起に首相も「適正」とはいえなくなりました。

問題は税金の使い方

巨大架橋など無駄こんなに

グラフ

 首相「そうすると保険料負担と税金投入等も考えなければならない。消費税20%が実施になったら、患者負担なんか一割でも結構でしょう」

 小池「税金のとり方ではなく、使い方なんですよ。問題は」

 患者負担増がいやなら保険料アップや増税しかない――“それでもいいのか”というのが首相の言い分。この場でも声高に持ち出してきました。

 小池議員は、ヨーロッパの国々では、税金の使い方も日本と違うことを示しました。税金や社会保険料のうち社会保障(医療・年金・介護)給付に使われているお金は、スウェーデンの63・3%、ドイツの66・6%にたいし日本は47・9%と五割を切っています。

 「今回の予算でも大変問題がある」とたたみかける小池議員。公共事業では関西空港二期工事、川辺川ダムの無駄。「こんな計画もある」と、東京湾や伊勢湾など六つの海峡にかける巨大架橋計画を紹介。すべて世界最長の明石海峡大橋より長く、「世界第一位から七位までの橋が日本に勢ぞろいすることになる」とのべると、議場にざわめきが広がりました。

 「公共事業を減らし、必要な社会保障関係はつける、メリハリのつけた予算を組んでいるつもり」と弁明に回る首相。

 とんでもないと小池氏は追撃。予算の一般歳出に占める医療費の国庫負担は一九八〇年の11・7%から来年度予算は15%です。「高齢者の数は二倍に増えているのに4%しか増えていない。だから一人あたりの医療費が削られて、みんな大変な思いをしているんじゃないですか」。小池氏の指摘に首相は反論しなくなりました。

製薬業界の献金に議場どよめく

首相 「薬価見直す必要」

 首相「いざ病気になったらできるだけ軽い負担でお医者さんに診てもらう。あるいは、健康づくりに意識を持ってとりくんでもらうことによって世界で最も長生きできる国になったという、この問題をもっと多くの国民に認識を持ってもらって、長生きを喜べる社会にしていきたい」

 日本共産党の医療改革「提案」の文書を受けとり、小池議員の説明を聞くとこう答弁しました。

 小池議員は「あなたの言っていることを実践しようと思ったら窓口の負担を安くするという結論しかでませんよ」と、実践で示すよう要求。

 (1)国庫負担削減(別図)を元に戻すこと(2)高い薬価の引き下げ(3)病気の早期発見・早期治療を保障する体制の確立――という日本共産党の改革「提案」の中身を紹介。とくに薬価については製薬企業、関連団体から多額の政治献金が首相本人や自民党に流れていることを示し、本腰でメスを入れることができるかを追及しました。

 「製薬産業政治連盟から自民党議員に一億一千万円」「小泉総理には四百万円」。献金額(二〇〇〇年)を読み上げるたびに、「オー」とどよめく議場。傍聴席からも「そうなのか」という声。

 薬価について首相は「いろいろ政府としても直す必要があると思っております」「安い薬が使えるような体制について、もう一歩踏み込んだ改善があるのではないか」とのべました。

 


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