2002年4月1日(月)「しんぶん赤旗」
来年度予算の成立を受け、後半国会では、鈴木・加藤疑惑の引き続く解明など「政治とカネ」の問題と並んで、医療改悪関連法案、有事法制など国民のくらし、憲法と平和にかかわる重要法案の取り扱いが焦点になります。
医療改悪関連法案の国会提出をめぐって与党は、サラリーマンの三割自己負担の実施時期について、自民党厚生族の抵抗で意見調整が難航したものの、小泉純一郎首相が主張した「来年四月実施」で合意しました。予算成立を受けた三月二十七日の会見で首相は「抵抗していた方々も協力してくれる姿勢に変わった」とのべ、「改革本番」の重要法案と位置付けて会期内に押し通す構えです。
野党は三月二十九日の政策責任者会議で改悪法案を結束して廃案に追い込むことで合意。日本共産党も医療改革の「提案」を発表(三月十四日)し、各界、各層と協力して廃案にむけた運動をすすめています。
法案は青年層から高齢者、現役のサラリーマン、公務員から退職者、家族まで、八千万人以上に負担増を押し付ける改悪です。労働者本人が病院窓口で支払う患者負担は現行の二割から三割に引き上げられます。高齢者については、定額制(一回八百円、五回目以降は無料)や上限制(外来で月三千円)が廃止され、一割負担の例外をなくす改悪が行われます。厚生労働省は負担増の総額を約一兆円とし、受診抑制による給付減を約五千億円と見込んでいます。国民にとって合計一兆五千億円もの負担増・給付減となります。
国会には健康保険法、老人保健法などの一部「改正」案として提出され、政府・与党は九日の衆院本会議で趣旨説明に入ることを狙っています。本会議のあと、衆院厚生労働委員会で審議される予定です。
政府・与党は、有事立法の基本方針や個別法制の整備項目を定めた「包括法」と安全保障会議設置法改悪案、自衛隊法改悪案の三法案を今国会に提出しようとしています。三月二十日の与党緊急事態法制協議会では、十日までに国会提出することを確認しました。
日本共産党は「戦争に協力しない者を“犯罪者”とする違憲立法以外のなにものでもない」(志位和夫委員長)と批判。法案提出そのものを許さず、仮に提出されても廃案に追いこむ構えです。
内閣官房が二十日に示した「武力攻撃事態における我が国の平和及び安全の確保に関する法制の整備について(案)」は、地方自治体への「指示権」まで検討するなど首相に権限を集中させ、国会も関与させない超憲法的な仕組みをつくろうとしています。「有事」での対処基本方針も、閣議で決定するだけで国会にもはからず、その方針を実践するのも首相が本部長となる対策本部です。
また、民間人にたいしても「罰則規定の整備」を明記。その対象も「物資の保管命令に従わない者等」とするなど、広げる余地を残しています。
内閣官房の文書では、自衛隊の「防衛出動」や「防衛出動待機命令」が出されたときも有事立法の発動を検討するとしています。「防衛出動」は「武力攻撃のおそれのある場合」にも命令されますが、米軍がアジア・太平洋地域で軍事介入する「周辺事態」も「わが国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」です。政府が武力攻撃のおそれがあると認定することで周辺事態法が発動し、有事立法の発動につながる危険も排除されていません。
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