2002年4月2日(火)「しんぶん赤旗」
診療所の窓口に張られた老人医療の負担金があがったことを知らせる張り紙=1日、東京都内 |
七十歳以上(寝たきりは六十五歳以上)のお年寄り医療費の自己負担が一日から値上げになりました。小泉内閣が今国会で成立を狙う医療制度改悪法案に先立つ改悪です。東京・台東区のよみせ通り診療所(篠塚雅也所長)でお年寄りに聞きました。
会計で出した千円札。おつりに返ってきた百五十円に「あらッ?」と声を上げた女性(77)。定額払いの同診療所では、四月から受診一回八百円が八百五十円(月四回まで負担あり)になりました。その説明を受け、思わず顔をしかめました。
「五十円でも大きい。だって年金だもの」。国民年金は月一万二千円。このうえ医療改悪案が通れば十月から診療所も一割負担に。「このごろ老人は死ねといわんばかりでしょ。お友達と『おしゃもじ担いで国会へ行こうか』なんていってるの!」
月額上限 | ||
従来 | 4月以降 | 診療所と 200床未満の病院 | 3000円 | 3200円 |
200床以上の病院 | 5000円 | 5300円 |
1日の自己負担額 (月4回まで) | ||
定額制の診療所 | 800円 | 850円 |
肝炎の治療で週三回注射に通い、薬も飲んでいる市島美津さん(89)=文京区=。月三千二百円から同三千四百円へ負担が増えます。訪問看護を受けている夫(92)は、医療改悪で一割負担になれば六千円近くに上がりそう。これまでの四倍近い値上げです。介護保険の利用料も月四千〜五千円。月十六万円程度の年金生活を圧迫します。「戦後、焼け野原で子どもを育てて、真っ直ぐな道を歩いてきたのに…」
いっそう怒りをかきたてているのは税金を食いものにした相次ぐ汚職。「支援とかいって税金を外国へやっちゃったっていうからひどいよ。外務省の機密費もどうなってんだかわからないまま。小泉さんは仲間をかばうのに一生懸命でさ。でたらめな政治。みんな目玉を丸くして一生懸命怒らないとだめ」。目を大きく見開いていいました。
お年寄り患者の多い同診療所。昨年一月、老人医療が一回五百三十円から八百円に上がったときは一人当たりの受診回数が約半分になりました。今年は値上げを前に、三月から受診患者数そのものが減っているといいます。
同診療所の倉持雅臣事務長は「必要な医療が受けられなくなっていると感じます。小泉内閣を追い詰めるたたかいで改悪を阻止したい」と語っています。