2002年4月3日(水)「しんぶん赤旗」
小泉内閣が、戦争への協力を国民に義務づける有事立法を今国会で強行しようとしています。法案を九日に提出する予定です。
政府の文書は「物資の保管命令に従わない者等に対する罰則規定の整備」をあげています。
土地、家屋、物資などを収用できるとした自衛隊法一〇三条の「改正」をうちだしており、これらの動きは、小泉内閣のねらう有事立法が、戦争への協力を罰則で国民に強制するものであることを示しています。
国民が協力を拒否すれば、犯罪者として刑罰を科す体制がつくられることになります。
この点では、戦争協力を拒否した者に懲役を含む刑罰を科して国民を侵略戦争に動員した戦前の国家総動員法と同じです。
政府の文書は、土地使用や工作物撤去のための「公用令書を交付できない場合の措置」も明記しています。知らない間に、自分の土地に陣地がつくられ、家が壊されていたということにもなります。
「土地使用の時期」、つまり私有地をとりあげるのは「防衛出動待機命令」が出た時だとしています。
待機命令を出すのは首相です。
首相が自治体に「行使し得る権限」を定めるとし、戦争協力を自治体にも命令できるようにしています。
いずれも、戦争放棄とともに、国民の財産権を保障し、地方自治を重要な原則とすることで、政府が戦争しないようにした憲法に真っ向から反したものです。
小泉内閣は、憲法の定める国の仕組みを根本的に改悪し、国民の権利も地方自治も踏みにじり、戦争することを当然とする国に日本を変えようとしているのです。
それも、アメリカの戦争のためにです。
中谷防衛庁長官は国会で、「周辺事態を放置すれば日本有事に発展する可能性は十分にある」とし、米軍を後方支援する自衛隊の艦船や航空機が攻撃されれば、「有事の認定、すなわちわが国への武力攻撃と認定する」と答弁しています。
政府は「日本が武力攻撃を受けた時に備える」ことを口実にしていますが、実際は、米軍がアジアで戦争するのにあわせて、首相が自衛隊に待機命令をだし、有事立法を発動することもできるのです。
現に、自衛隊は、同時テロにたいする米軍の報復戦争に参戦しています。日米軍事協力のガイドライン(指針)のもとで、日米の戦争計画である「相互協力計画」の原案が、日米軍事当局間ですでに調印されていることも明らかになりました。
小泉内閣は、米軍がアジアで起こす戦争に日本が参戦できるように、戦争国家体制をつくろうとしているのです。
自民党政府は、一九七〇年代から有事立法の策動をくり返してきましたが、日本国民はそのつどそれを阻んできました。
有事立法は、憲法に反するものであり、しかも「どこかの国が攻めてくる」というその口実はとうてい通用しないからです。
小泉首相は「自民党をぶっ壊す」といって売り出しながら、実際は自民党腐敗政治を温存し、従来の自民党政権がいってきたのと同じ口実で、自民党が果たせなかった野望を実現しようとしているのです。
平和を願う国民の力で、小泉内閣の有事立法策動を未然につぶそうではありませんか。