2002年4月4日(木)「しんぶん赤旗」
「先ほど神崎代表に協力要請したところ、快く『これからも与党結束して頑張ろう』と、ご協力いただいた」
BSE(狂牛病)問題をめぐり、小泉純一郎首相は三日夜、武部勤農水相の「続投」方針を決めたあと、こうのべました。
武部農水相の「自発的辞任」を求めていた公明党ですが、「やむをえない」(神崎代表)と受け入れ、白浜一良参院幹事長が「連立の枠組みが大事ということは認識している」とのべるなど、矛を収めた形です。
問責決議案への態度は最終的に明らかにしていないものの、欠席の見通しで、結局、決議は否決され、武部氏「続投」に手を貸すことになります。「(どこまでもついていきます)“ゲタの雪”じゃない」といっていた言明は、さてどうなるのか――。
もともと、この間の公明党の態度には矛盾がありました。
公明党は二日になって、BSE調査委が農水省の「重大な失政」を指摘した最終報告を発表したのを受け、「人心の一新」を求めはじめました。
神崎武法代表は、二日の記者会見で、武部氏に辞任を求める理由に、日本でのBSE発生の危険を指摘したEU評価の拒否など、武部氏の「政策判断の間違い」を挙げました。
しかし、これは日本共産党の追及などで、農水相不信任決議案に公明党が反対した二月五日の時点ですでに明らかになっていたもの。不信任決議案そのものにも、EU評価の拒否が指摘されていました。
公明党の冬柴鉄三幹事長は、農水相不信任決議案に反対した際、「武部大臣は新体制の下、真剣に取り組んでおり、不信任案には賛成することはできない」とする談話まで発表していました。
同じ与党の保守党・野田毅党首は「不信任決議案を否決した後、明白な失政が積み重ねられたか否かがポイントの一つだ」(三日)とのべ、衆院で不信任案に反対したのに、参院で問責決議案には賛成できないとの認識を示しました。
公明党は、二月に農水相不信任決議案に反対したのに続き、三月二十日には、衆院議運委員会で、鈴木宗男衆院議員に対する議員辞職勧告決議案の上程にも反対し、鈴木氏擁護にまわりました。
自民党の失政や腐敗をかばう公明党の態度には、マスコミからも「自民党の応援団に回り、与党・野党の立場の違いで対応をくるくる変える矛盾が浮き彫り」(「朝日」三月二十一日付)などと痛烈な批判が浴びせられていました。
“汚名返上”をかけた農水相辞任要求でしたが、結局は「続投」容認で、“ゲタの雪”に落ちつきそうです。(小)