2002年4月5日(金)「しんぶん赤旗」
小泉医療改悪は健保本人の窓口負担が三割に引き上げられるだけでなく、退職者にもおよびます。その一つが任意継続。
「国民健康保険より得です」。本木道隆さん(60)=東京都昭島市=は一月末、日産自動車を退職するとき、健康保険組合の担当者にいわれ、健保を任意継続しました。
任意継続は退職後も二年間、健保と同じ医療や傷病手当などの現金給付を受けられる制度です。加入者は本人と家族あわせて約七十九万人。国保の窓口負担が三割にたいして、任意継続は本人二割、家族外来三割・入院二割です。
ただし、保険料は現役の約二倍。そのうえ医療改悪案で窓口負担が三割に引き上げられるので、任意継続のメリットは大きく後退します。退職する際、持病や家族構成、自治体の国保税(料)の計算方式などを考えて、国保か任意継続か、選択に悩まされます。
「こんなにとられるとわなあ」。本木さんは保険料を銀行に振り込み、ため息をつきました。現役時代は労使折半だった保険料を全額払うため、月額三万二千四百円も。同時に介護保険料三千九百八十一円を合わせて払いました。「それに銀行手数料が八百四十円だよ。まったく。思いのほか高いよ」
四十四年間、日産の自動車工場で働き、労働者の権利を守ってたたかってきたことを誇りにする本木さん。いま手にする厚生年金と日産の企業基金をあわせて月額約二十万円です。
本木さんは高血圧症と肝機能障害で工場内の診療所に月二回通院していました。ところが、退職してから一月半も医療機関にいきませんでした。
「薬を飲み忘れることがあって、まだ残っているから」といいますが、収入が減った上に、新たな医療機関でどれだけ窓口で支払うか不安でした。工場内の診療所では、窓口負担二割のうち一割を会社が、もう一割を健保組合が負担。本人の負担はゼロでした。
周囲から「病気が悪くなったら大変」と促され、やっと三月下旬、病院にいきました。初診の日はレントゲンや血液検査で約四千二百円。五日後に腹部エコー検査で千百円。「これが、医療改悪で三割になったら重いよな」と本木さん。
「そもそも何で保険料を払ったうえに、窓口で自己負担しなきゃいけないんだ。根本的な疑問をもつ」という本木さん。
小泉「医療改悪」反対で二月、埼玉で全国集会があったとき、バスで三多摩健康友の会の人たちと参加しました。「年寄りが、がんばってるのに驚いた。オレが一番若いぐらい。でも、もっと若い人を運動に参加させないと。オレはこれから国会に通うつもりなんだ。議員要請したり、議会を傍聴したり。オレなりに抗議行動をしたい」