2002年4月7日(日)「しんぶん赤旗」
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現役サラリーマンだけでなく、会社や役所を退職した年金生活者と家族にも、三割負担を押しつけようとしています。
退職すると健康保険の加入資格がなくなり、国保(国民健康保険)にうつることになります。国保には、退職者を対象にした退職者医療制度があります。加入者は家族を含めて五百十三万人。七十歳になるまで、窓口負担は本人が二割、家族は入院が二割で通院が三割です。改悪案は、この人たちの負担もすべて三割に引き上げようというものです。
三年前に運送会社を定年退職したAさん(63)の場合。妻と二人、月二十四万円の厚生年金で生活しています。六年前から高血圧と腎不全で月二回の通院を続けているAさんの窓口負担は、二割負担で月二万七百五十円です。これが三割になると支払い額は月三万一千百三十円に。一カ月あたり一万三百八十円、一年では十二万四千五百六十円もの負担増です。
症状が悪化すると人工透析が必要になるため、毎月の検査と診察は欠かせません。Aさんは「体のことを考えると通院はやめたくありません。しかし毎月三万円以上の負担を続けることは、本当に苦しい」といいます。
退職後も在職中と同じ二割負担となる健保の任意継続被保険者制度(最長二年間)も三割負担となります。退職前からの病気やけがの治療が二割負担となる継続療養給付制度(五年間)は、廃止されます。(つづく)