日本共産党

2002年4月9日(火)「しんぶん赤旗」

一目で分かる医療改悪(5)

受診抑制

病院の敷居さらに高く


 三割負担導入のねらいは、患者の支払い額を高くして病院への足を止め、医療費を抑えるところにあります。

 政府は“コスト意識を持たせる”と患者負担増を合理化してきました。小泉純一郎首相は国会で「(負担が低いと)何でもない人が病院に殺到する」(昨年十二月五日)と発言。経済産業省は「少ない負担で相当の医療を受けられることは『病気になっても、怪我(けが)をしても心配なし』という安心感を生み出し、……予防、健康増進への意欲を妨げる要因ともなりうる」(医療問題研究会、昨年十二月)という報告書をまとめています。

表

 厚生労働省は、三割負担による受診抑制で、医療費を三千八百億円減らせる(〇三年度)と見込んでいます。二割負担に引き上げた九七年の医療改悪と同じ規模の給付減をおしつけるものです。

 厚労省の患者調査によると、改悪後の九九年の三十五〜六十四歳の通院患者数は、改悪前の九六年より三十五万人も減りました(グラフ)。とくに高血圧や消化器系の病気など、継続的な治療が必要な慢性疾患の患者が大きく減っています。

 同省の国民生活基礎調査では、九八年に病気の自覚症状がある人(二十五〜六十四歳)の13%、二百八十万人が受診をがまんしていることがわかりました。

 病院の敷居をさらに高くしようという三割負担は、安心できる医療を投げ捨てるものです。(つづく)

 イラスト・高村忠範

 


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