2002年4月10日(水)「しんぶん赤旗」
作家の井上ひさしさん、脚本家の小山内美江子さん、哲学者の鶴見俊輔さん、劇作家の平田オリザさんらのよびかけで、学術、文化、宗教、スポーツ各界の識者二百五十氏(第一次分)が九日、「『戦争国家』づくりはごめんです 有事法制づくりは憲法を根底から崩すもの」との「有事法制に反対するアピール」を発表しました。
アピールは、小泉内閣が今国会に提出しようとしている有事法制について、日本を「平和国家から、戦争を進めるための法律を整備した『戦争国家』に根本から変える」ものと指摘。「備えあれば憂いなし」という政府の言い分を批判し、学術や文化、宗教、スポーツにかかわる者は「平和なくして自分たちの存在はない」として、有事法制を許さない世論を広げようと訴えています。
呼びかけ人二十氏のうち東京都立大学元総長の山住正己さん、劇作・演出家の津上忠さん、海洋サイエンティストの河井智康さん、劇作・演出家の瓜生正美さん、写真家の丹野章さんが都内で記者会見しました。山住さんは「有事法制は、かつての戦争下の勤労動員を思い出させる。戦争にいっさい関与しないことが大切だ」と語りました。
アピールには、「アメリカ、イスラエル、そして日本の政治の行く方は、未来を封じている。信じ難い程の逆行」(歌手の加藤登紀子さん)、「有事法制は戦争法(制)であることをみんな知らなければ」(料理研究家の小林カツ代さん)などの声が寄せられ、作家の井出孫六さん、大城立裕さん、小林信彦さん、映画監督の降旗康男さん、アニメーション映画監督の高畑勲さん、漫画家のやくみつるさん、名古屋大学名誉教授の豊田利幸さん、著述業の大橋巨泉さんなども賛同しています。