2002年4月12日(金)「しんぶん赤旗」
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放送、医療、通信、交通など国民のライフライン(生活基盤)にかかわるすべての公共機関を首相の統制下におき、戦争協力を「責務」とし、国民には「協力」を努力義務とする――政府・与党が十六日に閣議決定し、国会に提出しようとしている武力攻撃事態法案など有事三法案には、憲法を停止させるような重大な内容が盛り込まれています。
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政府は十一日、武力攻撃事態法案要綱に、新たに「国民の協力」という項目を挿入。政府や地方公共団体、指定公共機関が対処する際に、「国民は…必要な協力をするよう努めるものとする」と明記しました。
政府の有事法案では、自衛隊法改悪案で物資保管命令違反での「罰則」(六月以下の懲役または三十万円以下の罰金)が明記されているのに加え、強制力が格段に強まります。戦争協力を拒否した者は「非国民」扱いされかねない危険が出てきました。
一方、政府・与党は、有事の際に首相の指示・執行権がおよぶ「指定公共機関」について、災害対策基本法を念頭に、さらに拡大する方向で検討しています。
現在、災害対策基本法で指定されている「指定公共機関」は六十機関(表参照)。有事法案で「指定公共機関」に指定されれば、政府が決める対処基本方針を実施する「責務」を負う戦争協力機関にされます。しかも、方針の実施について、首相の指示を受けたり、強制執行されるなど、強力な統制を受けます。
「指定公共機関」で働く人たちには「職務命令」という形で戦争協力のための動員が強制される危険もあります。日本赤十字社の医療班が駆り出されたり、JRや日本通運のトラックなど輸送機関が軍事優先で動員されることも。NTTや携帯電話会社では軍事用回線の優先使用が求められます。
NHKや民放でも災害時のように警報を流すだけではすみません。政府発表を垂れ流し、事態の真相や国民の被害、国際社会の反応など、必要な報道がおこなわれなくなり、言論・報道の封殺につながります。