2002年4月12日(金)「しんぶん赤旗」
十一日の衆院本会議で、日本共産党をはじめ全会派の共同提案による「パレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議」と「日本人拉致疑惑の早期解決を求める決議」が、全会一致で議決されました。
「パレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議」は、「イスラエル軍のパレスチナ自治区からの早期全面撤退と軍事行動の即時停止」を要求。米国の仲介については、国連安保理決議をふまえた役割を求めています。
「日本人拉致疑惑の早期解決を求める決議」は、政府にたいし、日本と北朝鮮との国交正常化に向けた話し合いの中で、拉致疑惑の早期解決にとりくむよう求めています。
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による最初の日本人拉致疑惑発生から長い年月が経過した。さらに、最近、我が国の裁判所において証言がなされ、疑惑の詳細が明らかになりつつある。我々は、最愛の子や親・兄弟の消息を求めるご家族の方々の悲痛な叫びに、今あらためて心耳を傾け、この疑惑解決に真剣に取り組まなければならない。
拉致疑惑は、国家主権並びに基本的人権・人道にも関わる極めて重大な問題である。また、拉致疑惑により日本人の北朝鮮への不信感が増幅してきていることを懸念する。我が国としては、北朝鮮との関係が一日も早く正常化することを望むものであるが、同時に、相互の国民の間に確固たる信頼があってこそ永続的な二国間関係が成り立つことに留意したい。
北朝鮮赤十字会は、「行方不明者」の調査を再開することを表明したが、以上の見地から拉致疑惑の早期解決に向け真摯に取り組むことを強く要請する。
政府は、我が国と北朝鮮との国交正常化に向けた話し合いの中で、国民の生命・財産を守ることが国家としての基本的な義務であることに思いを至し、毅然たる態度により拉致疑惑の早期解決に取り組むべきである。
右決議する。
イスラエルとパレスチナにおいては、報復が報復を呼ぶ「報復の連鎖」により、日々、尊い人命が失われ、地域には相互の憎悪と暴力の悪循環が渦巻いている。当事者と地域の人々はもとより、我が国を含む国際社会全体の希望を担って開始された中東和平プロセスは今や最大の危機に瀕している。
本院は、平和と公正を希求する日本国民を代表して、現下のパレスチナ情勢に関し、強い憂慮の念を表明する。今こそ、全ての当事者、特にイスラエル・パレスチナ双方の指導者は、九三年にオスロで交渉による和平実現に合意した時の初心を想起すべきである。我々は、イスラエル軍のパレスチナ自治区からの早期全面撤退と軍事行動の即時停止を強く要請する。また、両者が和平交渉再開に向けた政治的英断を下すことを強く求める。この関連で、国連安保理決議一四〇二及び同一四〇三を全面的に支持する。
よって、政府は、現下の情勢を等しく憂慮する関係国と協力し、また安保理を中心とする国連諸機関とも緊密に連携しつつ、イスラエルとパレスチナ双方への働きかけを強め、情勢の沈静化と中東和平の実現に向けた外交の展開に格段の努力を払うべきである。特に、米国が中東和平において果たす役割の重要性に鑑み、政府は国連安保理決議をふまえた同国の仲介努力を支援するとともに、自らもこれと協調しつつ可能な限りの役割を果たすべきである。
右決議する。