2002年4月12日(金)「しんぶん赤旗」
フィリピンへの増派など米軍の緊迫した動きがつづく沖縄で十一日昼、海軍輸送船への大規模な弾薬積みこみ作業に日本の民間輸送業者が動員されました。
輸送作業は米軍専用の天願桟橋(具志川市)に寄港した米海軍海上輸送部隊(MSC)所属の貨物船グリーンウエーブ(九、五二一トン)への積みこみ。
同日正午すぎ、民間トレーラー十五台がつぎつぎに到着。
弾薬の内容や数量などは不明。しかし車両やコンテナーには「EXPLOSIVES(爆発性)」「火」の表示が至るところにあります。集積場では、真っ赤なヘルメットをかぶった米兵が日本人運転手を指揮、桟橋の途中には「弾薬作業中」を知らせる赤旗がかかげられ、消防車も待機しています。
那覇防衛施設局は本紙の問い合わせに、「海軍から弾薬の荷役作業を行うと通告があった」と回答。
米軍は、フィリピンでのテロ掃討作戦に在沖海軍基地キャンプシールズ(沖縄市)の海軍工兵大隊から三百五十人の増派を決めています。
在沖海軍司令部は沖縄県からの問い合わせにたいし、「(海軍の動向は)運用上の問題であり明らかにできない」と回答を拒否しています。
沖縄県平和委員会の大城保英事務局長は、「米軍も日本政府もこれほど危険な弾薬作業を自治体や住民には一片の通知もなしに強行している。有事立法が法制化されれば、自治体や民間業者は処罰つきで徴用、動員される。こんな憲法違反は許されない」と語ります。
日本共産党沖縄県委員会は十一日、稲嶺恵一知事にたいし、在沖米海軍基地キャンプ・シールズに駐留する海軍工兵大隊のフィリピン南部への派遣に抗議し、中止するよう申し入れました。
伊佐真市県委員長代理、宮里政秋県議団幹事長らは、在沖米軍からの増派は、米軍のフィリピンへの軍事介入の本格化と、在沖米軍基地の前線基地化であり、米軍基地撤去を願う県民の立場からも容認できるものではない、と強調しました。