2002年4月13日(土)「しんぶん赤旗」
自民党政治のもとで、秘密のベールに覆われてきた官房機密費の使われ方が明らかになりました。
日本共産党の志位和夫委員長が公表した出納帳など内閣官房内部文書は、宮沢内閣時代に当時の加藤紘一官房長官が自由裁量で使っていた機密費の実態を示しています。
出納帳に添付された毎月の収支や「パーティー」「手当」「国対関係」など項目ごとの使途集計は、「内閣」の用せんに記載され、これがまぎれもない内閣官房の文書であることを示しています。
餞別、香典などの支出が時々の動きと一致していることも、文書の真実性を裏づけています。
出納帳が示すのは、国民の税金が官房機密費として国会対策費など党略的に、あるいは私的に流用されている事実です。
自衛隊海外出動のPKO法強行のために野党への高級紳士服の仕立代になる。自民党の総裁選や総務会人事で他派閥の協力を得るために支出する。いずれも、官房機密費が党略的に使われているという指摘を裏づけています。
「長官室手当」「秘書官室手当」として、ほぼ毎月十日に百数十万円が支出されています。官房長官室関係者の給与に上乗せされ「ヤミ給与」になっていた疑いがあります。
官房長官の地元入りの費用や日比谷高校の同窓会費まで機密費で出しているのでは、まさに私的流用そのものです。
「国家の機密」の名のもとに、国民の税金がこのように勝手放題に流用されているのです。
政府は、機密費について「内政、外交を、円滑かつ効果的に遂行するため」「国政の遂行上不可欠」と説明しています。しかし、この目的に照らしても、出納帳に記載された支出のどこにそんな使われ方があるでしょうか。
出納帳が、政府のこれまでの弁明が通用しないことを改めて示しているのも重要です。
出納帳は毎回百万円ごとに入金を記しています。これは「官邸の金庫に百万円単位で袋に入れてある」とのべた塩川財務相のテレビ発言と一致しています。「忘れた」などという弁解はもう通用しません。
項目ごとの集計に使った内閣の用せんは、外務省から官邸への上納や、消費税導入のための国会対策として機密費が支出されたことを明記した、「報償費について」と題する内閣官房文書の内閣用せんと同じ形式です。これは内閣官房の文書の真実性を改めて示すものです。
官房機密費は、首相官邸がその実行者であるという点で、日本の政治のもっとも奥深い暗部にあり、腐敗の根源になってきました。
いま、腐敗政治の実態が次々に明らかになり、国民の批判が高まっているときに、政治のヤミにメスを入れ、機密費の実態を明らかにして、腐敗のしくみを取り除くことは、腐敗政治を一掃するうえで避けることができない課題になっています。
小泉内閣は機密費の実態、とりわけ官房機密費をどのように使ってきたのかを、国民と国会に公開しなければなりません。
また、機密費の党略的・私的流用をやめ、今後、流用しないと国民に約束すべきです。
官房機密費の使途の一部がここまで具体的に明らかになったいま、もはや政府はその実態を国民に隠し続けることはできないはずです。