2002年4月14日(日)「しんぶん赤旗」
「けさの『しんぶん赤旗』に仰天、衝撃」「服や靴代に税金が使われているのに腹が立つ」――日本共産党の志位和夫委員長が公表した「機密費文書」がマスコミで報道された十三日、赤旗編集局には反響が相次ぎました。国対費、パーティー、せんべつ、私的経費など、「国家機密」に値しない使途の詳細が明らかになったことで、「使途の公開」や「党略的・私的流用の禁止」を求める声が一挙に高まっています。
「秘密のベールに包まれていた政府の『機密費』の使途がここまで詳細に明らかにされたのは初めて」(「読売」)。
マスコミがいっせいに注目したように、これまでは証言やうわさにとどまっていた機密費の実態が、使途や支出先、金額まで含めて、初めて具体的な姿をあらわしました。
支出先として名前のあがった政治家も、古賀誠自民党前幹事長をはじめ、江田五月参院議員、二見伸明前衆院議員らが次々と「受け取り」を認めました。(別項)
多くは「覚えがない」「確認できない」とコメントしていますが、受領そのものは否定していません。
一方、官房機密費を流用した加藤紘一氏の事務所は、「政府は使途を一貫して公表していない。従ってコメントを控える」。機密費の党略的・私的流用を問わず語りに認めたに等しいものです。
動かぬ証拠をつきつけられ、対応が問われているのは、機密費を直接使う立場にある首相官邸です。
ところが、福田康夫官房長官は、「資料の真偽がわからないので答えようがない」「十年前の文書は残っていないので、調べようがない」と、調査へ動く気配さえみせません。小泉純一郎首相も、五十万円の支出が記録されていることを問われ、「十年前のことは覚えていない」と、税金の使途にかかわることなのに「調べる」とさえいわず、人ごとのような態度です。
今年度十四億六千万円もの官房機密費をあずかる首相官邸。「疑惑をもたれた政治家はみずから説明すべきだ」とくり返しておきながら、自分に問題がつきつけられたら、実態の調査さえ拒否するとは―。マスコミからは「『当時のことは分からない』という言い訳は許されない」(「東京」)、「思い切った使途公開の検討が迫られる」(「朝日」)などの批判や注文が噴出。野党からも「機密費のあり方を根本的に問わなければならない」(民主党・鳩山代表)という声が出ています。
古賀誠・自民党前幹事長(91年11月、「参院国対委祝い」50万円) 書いてある以上はもらっていたのではないか。
江田五月・民主党参院議員(91年11月、パーティー50万円) パーティー券購入かお祝いの形で協力してくれたことはあると思う。
田辺誠・社会党元委員長(91年11月、「祝い」50万円) (パーティーに出席した宮沢)首相が党に渡したのではないか。
二見伸明・自由党前衆院議員(91年11月、「英国屋」背広3人で160万5000円) 加藤氏が官房長官になったお礼のお返しで背広をいただいた。
各地の日本共産党組織は十三日、議員や幹部を先頭に、官房機密費の実態を詳しく報道した同日付「しんぶん赤旗」をもって問題の徹底追及と購読をよびかける街頭宣伝を展開。大きな反響が寄せられました。
東京都北区では、JR赤羽駅前で相楽淑子区議らが宣伝。二百部の「赤旗」が一時間もたたないうちになくなりました。
江戸川区では、東西線西葛西駅前で河野百合恵都議と区議団が宣伝。「新聞やテレビでやってたね」と足をとめた男性(68)は、「もう共産党しかないね。もっと共産党が大きくならないと政治はよくならないよ」といいながら「赤旗」を買い求めていきました。
大阪・木津川南地区は、小林みえこ衆院三区候補を先頭に宣伝カー二台やハンドマイク三隊を出し、住吉区、住之江区の十九カ所で宣伝。「テレビで見ていたが、さすがに共産党」「きょうの朝刊読んだが、もう共産党しかない」などの声が各地で寄せられ、この日夕方までに四人が日刊紙を購読しました。
横浜市港北区では、妙蓮寺支部が「赤旗」をもって地域住民と対話。同区の主婦、藤野悦さん(63)は、「日比谷高校の同窓会? お花代? いったいどこが『国家機密』なの。しらを切ろうとする福田官房長官の態度にも腹がたつ」と語りました。
JR福島駅前での宣伝では「一部ちょうだい」と手招きするタクシー運転手の姿も。