2002年4月14日(日)「しんぶん赤旗」
イラスト・高村忠範 |
七十歳の誕生日をむかえると、市町村から老人保健制度への加入手続きのお知らせがあり、届け出がすむと医療費の自己負担の仕組みがかわります。
通院の場合、いくら医療費がかかっても会計窓口での支払いは一定額ですむ定額制とされてきました。今回の改悪案は、ことし四月から月三千二百円(大病院は五千三百円)となった外来上限制と、診療所の窓口でおこなわれている一回八百五十円(五回目から無料)という外来定額制を廃止します。これで定額制は完全になくなり、昨年一月から導入された老人医療費一割負担が徹底されることになります。
政府与党は一割負担導入のさい、この外来の定額・上限制があるから「高齢者の方々に無理がない」(近藤純五郎厚生省保険局長、二〇〇〇年十月、衆院厚生委)、「低所得者には上限をもって手厚く配慮されている」(公明党、江田康幸衆院議員、同)と弁解しました。それから一年たらずで、この定額・上限制を廃止した改悪案をだしてきたのです。みずからいってきた“低所得者への配慮”を放棄したもので、病気によっては急激な負担増となります。
開業医の団体である全国保険医団体連合会の試算によると、糖尿病と腰痛症で月二回の通院では、千七百円となる現行の患者負担が、一割負担になると二千八百五十円で一・六倍。脳梗塞(こうそく)の後遺症と慢性気管支炎、腰痛で月二回通院した事例では五・六倍にもなります。(つづく)