日本共産党

2002年4月16日(火)「しんぶん赤旗」

「メガトン級の衝撃」

機密費文書 不正流用の実態解明を

テレビ朝日系番組 筆坂書記局長代行が主張


 「混乱続きの政界にメガトン級の衝撃が走っている。共産党が、官房機密費の出納帳だといわれる文書を公表した」―十四日放送のテレビ朝日系「サンデー・プロジェクト」で、司会者が日本共産党の公表した「機密費文書」の衝撃の大きさをこう伝えました。番組では、この問題をめぐって各党代表が討論、日本共産党は筆坂秀世書記局長代行が参加しました。

 同文書は、加藤紘一前衆院議員が官房長官を務めていた当時の官房機密費の使途を示すもの。

 筆坂氏は公表した理由について、「これで名前の出た個々人の責任を問うということではない。これを受け取った人は機密費かどうか分かりっこない人もいる」とのべた上で、「官房機密費は税金であるにもかかわらず、不正な流用がされていた。与野党が実態を解明する立場に立つべきだ」とのべました。

田原氏 「加藤紘一」名で5万円

 司会の田原総一朗氏は、文書に同氏への「香典五万円」と記載されていたことにふれ、「加藤紘一」「五万円」と書かれた香典袋を示して、義父が亡くなった際、加藤氏側から香典をおくられた事実を紹介しました。

 民主党の菅直人幹事長は「江田五月参院議員もパーティーをしたときに、加藤氏から祝儀がきたことをスタッフが覚えている。それが機密費かどうかは分からないが、(公表文書と事実が)符合している所が多いので、それなりの信ぴょう性がある」とのべました。

 筆坂氏は、何人もの政治家が加藤氏側からの金品の受け取りを認めていることをあげ、「加藤事務所のコメント(別項)がふるっている。『政府は官房機密費の使途について、一貫して公表していない。従ってコメントを控える』。つまり、これが機密費だということを認めている」と指摘しました。

朝日編集委員 「原資は機密費」

 朝日新聞編集委員の星浩氏は、文書の信ぴょう性について「加藤氏が毎月数百万円ずつ入金していることは、この原資は明らかに官房機密費だと思う。信ぴょう性は90%の確率でほぼ現物だ」とのべました。

 公明党の冬柴鉄三幹事長は、同文書に、同党議員に対して背広代の負担などが記載されていたことについて、「そんなものはもらっていない」と全面否定。しかし、筆坂氏が「政審会長を務めた二見(伸明前衆院議員、当時公明党)さんも認めている」と指摘すると、「二見さんはいまよそ(自由党)の人だ」とのべたものの、「彼は再選したときに、加藤さんからお祝いをいただいた。お祝い返しをした。それに対して、加藤さんから、背広の生地をもらった」とのべ、加藤氏側からの提供があったことを認める羽目に陥りました。

 番組では、宇野内閣の官房長官を務めた塩川正十郎・現財務相が昨年一月に同番組の取材に答え、「(機密費を)野党対策に使っていることは事実だ」「現ナマでやるのと、一席の代をこっちが負担するとか、いろいろある」「だいたい百万円単位で袋に入れてある」とのべたことを紹介。番組のナレーターが「公表された文書と驚くほどの一致」と指摘しました。

 これに対し、与党側は、「宇野内閣は二カ月で終わった。野党対策をしていたら、もうちょっと持っていたんじゃないの」(保守党・野田毅党首)、「二カ月の宇野内閣の官房長官で、こんなことがいえるのか」(公明党・冬柴鉄三幹事長)と、塩川氏の発言を否定するのに躍起。田原氏から「そんないいかげんな人を財務大臣にしていいのか」と突っ込まれると、山崎氏は「過去のことは分からない」というのがやっとでした。

 官房機密費がパーティー券購入やせんべつなどに党略的に流用されていることについて、山崎氏は「あるとすれば、趣旨に反する」とのべざるをえませんでした。

「上納」と同じ内閣用箋

 外交機密費の官邸への「上納」疑惑について、筆坂氏は、公表文書で出納帳の整理が内閣の用箋(ようせん)に書かれていることを指摘。日本共産党が昨年二月に公表した「上納」の実態を記載した内閣官房の内部文書も同じ用箋に書かれていたことをあげ、「上納を裏付ける文書と今回の文書がまったく同じ便せんに書かれているということからいっても、上納疑惑はいっそう深まった」と強調しました。

 筆坂氏は「われわれは、機密費がゼロでいいとは思わない。しかし、いま出ているものは、出すのが恥ずかしいから、機密にしているような中身だ」とのべ、全容解明とともに、機密費をチェックし、原則的に公開する制度を考えるべきだと主張しました。

 菅氏は「当然、表に出していい種類のものは、機密費からはずすべきだ」と主張。自由党の藤井裕久幹事長は、機密費流用について「趣旨に反する」と批判。社民党の福島瑞穂幹事長は「国会対策費として機密費を使うことは政治をゆがめる」とのべました。


 機密費文書にたいする加藤紘一事務所のコメント全文(十二日) 「政府は官房機密費の具体的な使途について、一貫して公表していないと思います。従って、今回の指摘につきましてもコメントは差し控えさせていただきたいと思います。」

 


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