2002年4月16日(火)「しんぶん赤旗」
晴れた空の下、端と端を結び合わせた、三角形の青い布(ピースメッセージりぼん)二千枚が東京・調布駅の南口広場をうめ、春風にはためきました。小泉内閣が十六日にも閣議決定しようとしている有事法制の問題をいっしょに考え、音楽で戦争反対と平和への願いをアピールしようと、十三日に開かれたピースメッセージコンサート。「小泉首相が戦争に行くわけじゃないんだから、勝手に国会で決めないで。もっと国民の声を聞いて」(司会の高校生)――そんな思いにあふれていました。
親子連れを含め数百人が足をとめ、プロや高校生のバンド、合唱、和太鼓などの演奏に手拍子をとったり、踊ったり。
「りぼん」には、一人ひとりの平和への願いがこめられていました。「お父さんを戦争につれていかないで」「多くの人を犠牲にする戦争をやめ、平和な世界を」のメッセージ。ハートマークや地球のイラスト。「元陸軍兵士八十九歳」という男性、中学生の丸文字、子どもが描いたらしい絵まで年齢もさまざまです。中国語や英語、ドイツ語、韓国語、フランス語もあります。
主催した調布・子どもと教育を考える市民会議は、歴史教科書問題をきっかけに二〇〇〇年十一月につくられました。昨年九月十一日、アメリカのニューヨークでおきたテロ事件後、「テロも戦争も反対」の思いを形にしようと、空をイメージした青い「りぼん」を昨年十月以来、毎週水曜日に調布駅前で集めてきました。
これで国会を取り囲もうと、四千五百枚を目標にしています。
コンサートでは、高校生や中学生たちの姿が目立ちました。メールや口コミで友だちを誘い、ぞくぞくと集まってきました。朝からの準備にも、彼らが力を発揮しました。
「小泉首相の『備えあれば憂いなし』を聞いて、『ふざけんじゃない』って思った。有事法制ができたら、いつ戦争になってもおかしくない世の中になる。それによってぼくらの未来だって変わるじゃないですか。だから僕も立ち上がらないと、と思って」というのは、コンサートの司会をつとめた高校一年生(15)です。
「ニューヨークの事件は、世界の世論でテロの犯人を国連に連れ出せば解決できたはずです。アメリカはなぜやり返すんだろう、と思いました。でも、いちばん怖いのは日本の対応。なぜアメリカの報復戦争に自衛隊を派遣したのか。それで日本も狙われるじゃないですか。この危機に乗じて『有事法制をつくろう』と小泉首相は言ってるけど、日本は戦争をするのではなく、平和をアピールする先頭に立ってほしい」
小学生やおとなにまじって和太鼓を演奏した高校一年生(15)は、「報復戦争をみて、力じゃなくて話せば解決できるんじゃないかと思った。報復で逆に大ごとにしてる。(アメリカ、アフガニスタン)どっちかがおとなになって(暴力の連鎖を)断ち切るしかない。自衛隊は出さなくてもいい、と僕は思う。これじゃ日本はアメリカのパシリ(使い走り)だ」。
広場には、コンサート賛同金やアフガニスタンへの募金をよびかける高校生たちの元気のいい声が響きました。いずれも高校一年生。「日本には憲法があるのに軍事協力なんて間違ってると思う」「戦争はいや。関係のない人が殺されちゃうし、やり返していたらきりがない。だから意味がないです」と話してくれました。
市民会議のメンバー、富永りかさん(43)は、こんなふうに語っていました。
「若い人がたくさん参加してくれてうれしい。ビラも若い人の反応が一番いいんです。こういう場で、自分にもなにかできるんだと思ってもらえたら。つながりをもっとつくっていきたいですね」