2002年4月17日(水)「しんぶん赤旗」
イラスト・高村忠範 |
改悪案には、お年寄りに医療費の二割を負担させることがもりこまれました。昨年の一割負担実施に続くものです。
受診抑制だけでなく、「高齢者は、全体としてみると…経済的にも豊かになっている」(高齢社会対策大綱、昨年十二月、閣議決定)という考えのもと、お年寄りにどんどん「応分の負担」を求めていくねらいがあります。「医療改革」の財務省案は、現役と同じ三割負担を高齢者全体に求めていました。
改悪案では、「一定以上の所得のある人」を対象に二割負担を導入します。一人ぐらしの場合で年収三百八十万円程度以上(年金収入のみ)、夫婦二人世帯で年収六百三十万円以上(月額約二十四万円程度の年金と給与収入がある)を具体的な対象者にあげています。
この人たちは、二割負担だけでなく、自己負担限度額(高額医療費制度)も外来で月四万二百円、入院で七万二千三百円に引き上げられます。老人医療費の支払い請求書でみると、外来四万二百円の限度額を超えるケースは全体の請求件数の0・2%。負担の限度額という機能はわずかしか果たせないことになります。
脳卒中の手術・入院費に相当する百五十万円程度の医療費でみると、自己負担限度額を適用しても八万三千六百八十五円の負担。現行三万七千二百円の二倍を超える負担増となります。
二割負担による高齢者全体の負担増は九百億円(二〇〇三年度)。これに一割負担の徹底などを加えた改悪案による負担増は千八百億円です。(つづく)