2002年4月17日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 一連の教科書裁判や戦争美化教科書の合格など、教科書検定制度に疑問をもちましたが、どう考えますか。(長野・一読者)
〈答え〉 小・中・高校で使われる教科書は、各教科で学ぶべきことがらの、もっとも重要な内容を提供します。子どもの学力をも大きく左右するため、だれもが、子どもにとってわかりやすく興味がもて、科学的で理解も深まる教科書を望んでいます。ところが文部科学省の検定制度を通じた介入・統制で教科書づくりがゆがめられ、国民の期待とは大きく隔たったものになっています。
例えば最近の高校教科書の検定でも、アジア侵略と植民地支配を美化・合理化し、太平洋戦争も「自存自衛」「東亜新秩序」など当時の天皇制政府の主張を強調する歴史教科書が合格した一方で、▽生物Iでは、進化を教えないことになっているからと「進化」の語を使った記述を削除させる▽国語では、山田詠美さんの小説が「配慮を欠く」として他の作家のものに差し替えさせる―など、生徒らの理解を助けることなど眼中にない、文部科学省のかたくなな姿勢が見られました。
現行の教科書検定制度は、教科書の内容を科学的で正しいものにするにはほとんど役立っておらず、逆に非科学的で反動的なものにする役割を果たしています。憲法の、学問の自由や表現の自由の保障、検閲の禁止などに違反し、教育基本法の精神にそむくものです。
日本共産党は、憲法違反の教科書検定制度をやめ、教師や学者をはじめ国民の代表で構成される認定審査委員会で、国民的で学問的な議論を通じて教科書を豊かに発展させる制度を提案してきました。認定基準はゆるやかにし、著しく真実をゆがめたり、憲法・教育基本法の平和と民主主義の精神を公然と踏みにじるものを除き、認定するものとします。委員会の意見や執筆者の反論が国民にわかるように示し、教科書としての採択は教師らが自由な討論で判断するのを基本とします。(博)
〔2002・4・17(水)〕