日本共産党

2002年4月18日(木)「しんぶん赤旗」

日本が危ない 戦争国家づくり (1)

内外の批判

表に出た瞬間から


 「日本が『戦争をできる普通の国家』への一歩をまた踏み出した」(韓国・朝鮮日報)、「軍事行動拡大の大門がこっそり開かれる?」(中国・人民日報インターネット版)

 小泉内閣が十七日、国会に提出した「戦争国家法案」(武力攻撃事態法案など有事三法案)について、アジア諸国からきびしい視線がつきささっています。

「拙速ではないか」

 「韓国には『いつか日本は軍事大国になる』という懸念は大きい。有事法制はそういう世論や意見に根拠を与えるものだ」。こう指摘するのは、韓国の中央日報特派員・南潤昊(ナム・ユンホ)さん。「与党側は無理やりに法案を成立させようと、バタバタしている感じだ」ともいいます。

 東亜日報東京支局長の沈揆先(シム・キュソン)さんは「これほど大事な法案なのに日本でよく論じられていない」ことを懸念。「有事法制はまわりの国が懸念する軍事大国化の大きな流れの一つ。日本の担う役割の重大さからも軍事に頼らない平和な国になってほしい」と語ります。

 「国と地方自治体は上下主従の関係ではなく対等の立場だ。総理大臣が指揮をするとか、指示をするといった内容なら、いかがなものか」「自民党の中には、拙速主義じゃないかというような意見もあるとうかがっている」

 元自民党参院議員で参院議長まで務めた土屋義彦埼玉県知事は、十六日の記者会見で法案に異論を表明。「憲法の理念を尊重し、地方自治体の意向も踏まえながら、さまざまな角度から十分審議がつくされるべきだ」とくぎをさしました。

 大阪府の太田房江知事も「地方公共団体や住民にたいする説明責任を国はきちんと果たしているといえるか、疑問をもつ」「地域住民に大きな影響を受ける法律なので、国民的な議論をしたうえで決めるべき」だ(十六日)とのべました。

 政府と自民・公明・保守の与党三党だけの密室協議で、しかもわずか三カ月弱で法案をまとめたやり方そのものが、問答無用で国民を駆り立てようとする「戦争国家法案」の本質を示しています。
 全国市長会にも閣議決定までに届いたのは法案の骨子だけ。戦争への国民の強制動員、首相による地方自治体の統制…。深刻な問題点を前に、同会では「政府に説明を求めたい」として来週早々に政府からの説明会を設定しています。

政府の説明もなく

 政府からいっさいの説明がないのは戦争協力の「責務」を負わされ、首相の統制下になる「指定公共機関」も同じです。NHK(日本放送協会)も「内容如何(いかん)によっては、表現の自由、報道の自由にかかわる側面もあると思われる」とするコメントを発表、「慎重かつ多角的な議論」を求めました。日本赤十字社も「今後、政府に説明を求めていく」としています。

 秘密裏にすすめられた戦争国家法案づくり。それが表に出た瞬間から内外のきびしい批判の目にさらされています。(つづく)

 


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