2002年4月20日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党の筆坂秀世書記局長代行は十九日、東京・日比谷野外音楽堂でおこなわれた「STOP! 有事法制4・19大集会」であいさつしました。その大要を紹介します。
集会参加者のみなさん、たいへんご苦労さまです。私は日本共産党を代表して、集会参加者のみなさんはもちろん、全国津々浦々で有事法制は絶対に許さないとたたかっているすべてのみなさんにたいして、連帯のあいさつをおくるものであります。(拍手)
私たちは、今度の有事法制について「戦争国家法案」と名づけました。
それは、憲法第九条をじゅうりんすることを大前提としています。そしてすべての国民にたいして、戦争への協力を明確に規定していること、つまりわが国の最高価値は戦争なんだ、こういう国家づくりをおこなおうというのが、この有事法制だからであります。
しかし、憲法第九条で戦争を放棄したわが国で、戦争に協力しなければ犯罪者とされる、反戦平和のためにたたかうことが犯罪者とされる。このような法律が歴史を逆行させることは明らかであります。(「そうだ」の声と拍手)
今回の法案には、戦争を遂行するために国民の「自由と権利」に「制限を加える」ことが明記されています。しかし、無法な戦争と人権抑圧が一体のものであったこと、それは戦前、戦争に反対するという平和の思想を持つこと自体が治安維持法によって弾圧されたわが国の歴史をみても明らかではないでしょうか。
小泉首相は、「備えあれば憂いなし、これが古今東西政治の要ていだ」とのべました。しかし、これほど歴史にたいする無知、人類社会の進歩にたいする無知をさらけだすものはありません。(「そうだ」の声)
有事法制は、歴史のなかで誕生したときから、それこそ古今東西、侵略と抑圧のための法律となってきました。
世界で最初に有事法制をつくったのはフランスです。そしてその一週間後には、主権在民を求める国民の大虐殺をおこなったのであります。ドイツでも、有事には、人権と自由を制限することができるという憲法を悪用して、あのヒトラーがファシズムとそして侵略への道を突き進みました。
日本ではどうでしょうか。日本で有名な有事法制といえば、一九三八年につくられた国家総動員法であります。つまり日本の歴史をみても、世界の歴史をみても、有事法制というのが後顧の憂いなく人権を抑圧し、侵略の道に突き進むものであった、これが歴史の真実ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
まさに国民を戦争に強制的に総動員していく、ここに有事法制のもついちばんの本質があります。
しかも、有事法制というのは、まだ戦争が合法であった時代のいわば遺物であります。しかし、私たちは第一次世界大戦、そして第二次世界大戦を通じて、戦争は違法なものとしてきました。(「そうだ」の声)
この進歩の上に、武力行使一般を禁じた国連憲章があり、また日本国憲法があるのです。
私は小泉首相はこの歴史にこそ学ぶべきだといいたいのであります。(「そうだ」の声、拍手)
一九四五年の国連憲章、一九四八年の世界人権宣言をみるまでもなく、戦争の違法化と人権の拡大・擁護は、文字通り切り離せないものとして前進してきました。いまこの進歩の歴史に逆行する動きがこの有事法制であります。私たちは歴史の歯車を絶対に逆回転させない、そのためにどんなことがあっても有事法制を断固阻止していく、そのためにすべてのみなさんとの協力・共同を強めていく、その先頭に立っていく、この決意を申し上げ、日本共産党を代表しての連帯のごあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(拍手)