2002年4月20日(土)「しんぶん赤旗」
「つらぬけ平和憲法!」「有事法制はいらない」……。色とりどりののぼりや横断幕が、春の夜風に揺れます。東京・日比谷野外音楽堂で十九日に開かれた「STOP! 有事法制4・19大集会」に五千人が集まりました。労働者も若者も宗教者も女性も、参加者すべての願いである「有事法制ノ〜!」「平和憲法守れ〜!」と大きな声と大きなウエーブを繰り返し、この声を街中に広げようと、気持ちをひとつにしました。
アメリカ東海岸から来日した四人のアメリカ人は、「集会の趣旨すべてに賛同します」と参加しました。「ブッシュはテロを利用して、私たちのあらゆる権利をはく奪しようとしています。有事法制が通れば、日本も同じ方向に向かってしまう。戦争や軍事では平和は実現しない。日本政府は平和憲法を堅持すべきだ」と語りました。
電動車いすに乗った男性は、集会のことをビラで知り、「戦争はいや。有事法制は絶対反対」と、横浜市から二時間かけて一人で参加したといいます。
集会では、「有事法制反対」の一致点で集まった、立場も宗派も思想も違う団体の代表が次々とあいさつしました。
日本弁護士連合会の川中宏副会長は、「有事三法案の内容は、憲法上問題がある。国民の人権は一片の通知で制限され、戦争に協力しなければ刑罰を加えるという。民主的な手続きもまったく無視している。戦争は最大の人権侵害。人権を擁護し、民主的な社会を実現することが法律家の役目。平和と人権の世紀と言われた二十一世紀の二年目に、こんな人権侵害の法律を許してはならない。みなさんとともにがんばります」と訴えました。
「二度とふたたび、愛する者を戦場に送りたくありません」と訴えたのは、女性の憲法年連絡会呼びかけ人の江尻美穂子さん。「小泉首相は『備えあれば憂いなし』というが、平和を実現することこそが一番の備えではないでしょうか」。静かに語りかける言葉に、参加者は聞き入りました。
宗教者を代表してあいさつした浄土宗見樹院住職の大河内秀人さんは、NGOとして参加したルワンダやパレスチナでの活動を紹介。「武器は人間を変える。力をふりかざすようになったとき、対話をやめてしまいます。戦場でおびえる兵士を見ると、日本の若者に同じ思いをさせたくないと思います。平和を願う声で、戦争を止めましょう」と訴えました。
最後に高校生の上保匡勇(じょうほ・まさたけ)さんが壇上にあがると、会場からは「がんばれー!」と声援が飛びます。昨年九月のテロ発生以降、高校生らが「テロにも報復戦争にも反対」と署名を八千人分集めたことを報告。「テロも戦争も核兵器もない社会をつくりたい。有事法制には絶対反対です。小泉首相は、力の強い国ではなく、平和を守る強い心をもつ国であることを示してほしい」と訴え、参加者から共感の拍手が響きました。
神奈川・相模原市から参加した戸谷加奈子さん(26)は、「アフガンやパレスチナで貧しい人々が殺されていくのを見るたび、見ているだけでいいのかと夫と話し合い、昨年末から行動を始めました。アメリカの戦争に加担していくようなことはしたくない。希望をもち、力があることを示したい」と語りました。
「STOP!有事法制 4・19大集会」では、日本共産党の筆坂秀世書記局長代行と社民党の福島瑞穂幹事長、無所属の川田悦子衆院議員があいさつしました。
福島幹事長は、「有事立法に反対するのは、国民一人ひとりにたいする刑務所つきの罰則つきの威嚇で、戦争に協力させるものであるからです。私たちは、国家の犯罪である戦争に加担したくないのです」と強調しました。今回の有事立法三法案は、まぎれもなく憲法を殺そうとする法律だとのべ、「戦争協力責務を絶対的に拒否しよう。力を合わせて、一人ひとりのために、国民のために、この法案を廃案にしよう」と訴えました。
川田衆院議員は、小泉内閣がすすめる有事法制、医療制度改革、メディア規制は一体のものとのべ、「殺すことも、殺されることも、戦争で加害者になることも、被害者になることもノーといわなくてはならない」「いまこそ力を合わせ、党派を超えてたたかいに立ち上がろう」とよびかけました。