日本共産党

2002年4月21日(日)「しんぶん赤旗」

主張

機密費疑惑

首相は解明責任を逃げるのか


 宮沢内閣時代の加藤官房長官の金銭出納帳で官房機密費の党略的・私的流用の実態が明らかになったことにより、機密費疑惑の解明が改めて重要な政治課題となっています。

 日本共産党など野党四党は、政府自らの手で官房機密費の真相解明が十分に進むまで、その執行を停止するよう小泉首相、福田官房長官に申し入れました。

官邸は疑惑の当事者

 この問題で重要なのは、首相官邸が疑惑の当事者だということです。

 加藤官房長官の出納帳は、首相官邸が巨額の税金を官房長官の自由裁量で不正に流用していたことを明らかにしています。

 政府は、機密費を「内政、外交を、円滑かつ効果的に遂行するため」「国政の遂行上不可欠」と説明していますが、「国対費」「せんべつ」「パーティー」など内閣用せんに記された支出項目に「国家機密」といえるものは何一つありません。

 これは、首相官邸が国民を欺いていることにほかなりません。

 いま、さまざまの政治腐敗事件が相次ぎ、国民の政治的不信が渦巻いている中で、政治の中枢である首相官邸の疑惑が決定的証拠で明らかになったのですから、あいまいにできるものではありません。

 この疑惑を解明し明らかにする責任を負っているのは、当事者である小泉首相自身です。

 首相は、自民党議員などの疑惑が明るみにでるたびに「疑惑をかけられた者が自ら明らかにする責任がある」とのべています。ところが、自分が当事者である官房機密費の疑惑では、調査するとさえいわない。これだけでも首相失格です。

 まして、問題の出納帳には、当時自民党副幹事長だった小泉首相も「せんべつ」を受けたことが明記されています。「記憶がない」などという弁明は到底通用しません。

 重大なのは、官房機密費の党略的・私的流用が、日本の政治を最も奥深いところで腐敗させる根源になっているということです。

 そのことは、官房機密費が「国対費」として使われ、しばしば国民の反対する悪法を強行する手段になっていることをみても明らかです。

 出納帳には公明党幹部への高級紳士服の仕立代が明記されています。自民党が自衛隊派兵法(PKO法)の強行をはかっていた時にです。

 日本共産党の志位委員長が昨年二月に明らかにした「報償費について」と題する内閣官房作成の文書には、消費税導入のための「国会対策」として年額五億円もの機密費を使ったことが明記されています。

 官房機密費の流用が政治腐敗の根源になり、国民に重大な実害をもたらしていることは、もはや隠しようもありません。

 志位委員長が加藤官房長官の出納帳を公表し、官房機密費の党略的・私的流用の実態を明らかにして以来、そこに支出先として記載された人々からは、金銭授受を認める発言が相次いでいます。

言い逃れは通用せぬ

 それは、出納帳の真実性とともに、「出所不明なので調査する考えはない」という福田官房長官の言い逃れが通用しないことを重ねて示しています。

 小泉首相、福田官房長官は、官房機密費の疑惑を解明して国民の前に明らかにするのか、それとも自らの疑惑にフタをして逃げるのか。

 政治腐敗にたいする国民の怒りは、その根源にある小泉首相と自民党に厳しく向けられています。

 


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