2002年4月25日(木)「しんぶん赤旗」
「人権擁護」を口実に報道機関の取材などを規制の対象にする「人権擁護法案」が二十四日、参院先議で審議入りしました。参院本会議で代表質問に立った日本共産党の井上哲士議員は「人権の名のもとに、報道・表現の自由への介入の道を開くものだ」と批判し、法案の撤回、抜本的見直しを求めました。
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同法案は、法務省の外局として「人権委員会」を設置し、救済対象として人種などを理由にした不当な差別、学校・福祉施設などでの虐待と同列に、報道機関の取材を規制の対象としています。
井上氏は、人権委員会について、事務局には法務省人権擁護局が横すべりし、法務省との人事交流もおこなわれる点などをあげ、「これで(政府から)独立した機関といえるのか」と批判。そのうえで、「大問題なのはメディア規制だ」として、報道機関の行為を「過剰取材」などと判断する権限を人権委員会にゆだね、異議申し立ても認めないのは、「憲法二一条に規定された『表現の自由』への行政の介入となり、民主主義を危うくするものではないか」と指摘。「取材を規制するなら、政治家の金権事件や公権力の人権侵害を覆い隠すことになるではないか」と追及しました。
また、法案が「不当な差別的言動等」や「差別助長行為等」も規制の対象にしていることについて、メディアばかりでなく、「国民の言論・表現の自由や内心の自由まで行政が介入することになる」と警告しました。
井上氏は「もう一つの大問題は、労働分野での差別的取り扱いを特例として委員会の対象から外し、厚生労働大臣などの指揮監督下に置いていることだ」と指摘。雇用の平等の分野こそ、独立した人権委員会が、企業に対して文書提出命令、立ち入り検査をおこない、迅速・簡易に労働者の人権救済をすることが必要だとのべ、「労働分野での特例をやめるべきだ」と主張しました。