日本共産党

2002年4月26日(金)「しんぶん赤旗」

論戦ピックアップ

個人情報保護法案

表現・報道を規制

プライバシー権明記なし


 個人情報保護法案などが審議入りした二十五日の衆院本会議で、日本共産党の吉井英勝議員は、同法案が表現・報道の自由を脅かす一方、「個人情報保護」にもきわめて不十分な内容になっていることを明らかにしました。

取材源開示や訂正、賠償も

 吉井英勝議員 法案の最大の問題は、国民の表現・報道の自由を脅かすということだ。「基本原則」では、「個人情報は、適法かつ適正な方法で取得されなければならない」とか、個人情報を取り扱う時に「本人が適切に関与し得るように配慮されなければならない」としている。

 疑惑政治家が、個人情報の「本人関与」を盾に、取材内容を明らかにすることを求めたり、関係者に一切の取材拒否を指示した場合、取材活動は大きく制限されるのではないか。

 小泉純一郎首相 「基本原則」は取材活動にたいし、具体的な本人関与にかんする義務を課すものではなく、自主的に努力することでたるもので、取材活動の制限にはならない。

 法案は、報道機関やその関係者などにたいしても、「基本原則」の適用を規定しています。そのため、政治家の疑惑を報道した場合、疑惑政治家が追及を逃れるために、「基本原則」を根拠に、取材源の開示や、自分の情報の開示、あるいは訂正を求めたり、場合によっては、情報の取得方法や扱い方を理由に、賠償請求することなども想定されます。

文言あいまい政府の判断で

 吉井議員 法案の文言上で、個人情報取扱事業者から、報道、学術研究、宗教、政治の用に供する目的の個人情報を適用除外している。その際、放送機関、新聞社、通信社は明記されているが、「その他の報道機関」の範囲、また文学・文芸作品、評論の扱いは不明確であり、その定義は、権力機関である政府の判断と解釈次第になってしまうのではないか。

 小泉首相 報道であるか否かは、客観的に判断される。

 「その他の報道機関」とは何を指すのかは明確ではありません。週刊誌やフリージャーナリストなどは、「政府の判断と解釈次第」で「個人情報取扱事業者」とされかねません。吉井氏は、「表現・報道の自由」を規制する本法案を断じて容認することはできない」とのべ、法案の撤回を求めました。

個人情報保護極めて不十分

 吉井議員 個人情報を保護する法律としても極めて不十分だ。情報通信技術の急速な発展により、膨大な個人情報が集積され、個人情報の漏えい・売買など、これまでにも増して大規模なプライバシー侵害事件がおきており、真のプライバシー保護の法の制定が求められている。なぜプライバシー権を明記しないのか。

 小泉首相 基本原則や取り扱い事業者の義務などを定めており、かならずしもプライバシー権に言及する必要はない。

 プライバシー権とは、今日では「自分の情報は自分でコントロールする自己情報コントロール権」と定義されています。国民のプライバシー権を保障するためには、この立場が法案全体につらぬかれることが必要です。

 


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