日本共産党

2002年4月27日(土)「しんぶん赤旗」

侵略戦争の支柱だった靖国神社とは?


 〈問い〉 東京の靖国神社が侵略戦争の精神的支柱だったと聞きましたが、どんな神社なのですか。(高知・一読者)

 〈答え〉 靖国神社は、“天皇のために”戦死した軍人・軍属らを「祭神」とする、特異な神社です。西南戦争の西郷隆盛ら「賊軍」や、空襲などの戦争犠牲者は祭られていません。天皇中心の国家体制の中で、天皇のための死を称揚する学校教科書や天皇の靖国神社参拝などによって、「靖国」で神と祭られることが最高の名誉と教え込まれた国民を、侵略戦争にかりたてる役割を担いました。

 靖国神社の前身は、戊辰戦争の官軍戦没者をまつるため、一八六九年に創設された「東京招《社」です。天皇制政府が全国の神社や祭神を序列化し、国家神道の体系を作り上げていく中で、一八七九年に「靖国神社」となり、一八八七年から、神職の任命権も含めて全面的に陸軍省・海軍省の管轄となります。だれを祭るかも軍が決定し天皇の裁可を仰ぐ、文字通りの「軍事的宗教施設」として、相次ぐ侵略戦争の戦死者らを「祭神」にしてきました。

 戦後、信教の自由や厳格な政教分離を定めた日本国憲法のもとで、靖国神社は国家の特別の保護から離れ一宗教法人となりましたが、遺族の素朴な心情を利用し、靖国神社の「国家護持」や公式参拝を求める勢力と結びついています。東条英機ら十四人のA級戦犯を「昭和殉難者」として合祀(ごうし)し、侵略戦争で使われた旧陸海軍の兵器を陳列するなど、その宗教活動は侵略戦争肯定の立場で彩られています。徴兵された朝鮮半島出身の人たちなど、肉親が異国や異教の「祭神」にされた遺族らの合祀とりけし要求も拒否しています。

 このような過去と現在をもつ靖国神社への首相らの公式参拝は、日本政府が侵略戦争を肯定する立場に公然と立つことを意味します。また憲法二〇条の、信教の自由や政教分離原則を侵すものです。

 (清)

 〔2002・4・27(土)〕

 


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