日本共産党

2002年4月30日(火)「しんぶん赤旗」

小泉首相の靖国参拝

W杯共催精神に反する

韓国の鄭組織委員長


 小泉首相の靖国神社参拝に、韓国では国民の批判が高まっています。今回の参拝が「日韓友好への転機」と期待されるサッカー・ワールドカップ(W杯)大会を一カ月後に控えてのものだったことに対し、W杯韓国側組織委員長の鄭夢準・大韓サッカー協会会長(国会議員)はこのほど、「戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社を参拝したことは、W杯共催の趣旨と精神に正面から反する行為だ」と批判する声明を発表しました。

 小泉首相の参拝は、侵略戦争を美化する高校用歴史教科書『最新日本史』(明成社)が九日に検定合格した直後でした。声明は「歴史わい曲教科書の波紋が広がるなか、小泉首相がふたたび靖国神社を参拝した」のは、「計算された意図的な参拝」だと指摘します。

 鄭氏は教科書検定について十八日、小泉首相に抗議書簡を送っていました。書簡で同氏は、「W杯大会が韓国と日本の友好関係を増進させる画期的な機会になるかどうかは、韓国と日本の政治指導者の決心にかかっている」と強調。小泉首相が教科書問題の解決に努力するよう求めました。

若者に不信感

 昨年来、鄭氏は「歴史問題」について積極的に発言しています。十月に著書『日本人に伝えたい!』を日本で出版し、「なぜ日本は周辺国から尊敬されないのか」と問いかけました。十二月に発行された月刊誌『世界』別冊の歴史教科書問題特集号では、「周辺国の非難と憂慮の渦中にあっても、世界的な饗宴(きょうえん)を円満に開催できると考えているのであろうか」と、日本政府の態度をただしました。

 W杯共催をきっかけに、応援団の交流会などを通じて、日韓の若者同士の間に連帯と友好の意識が芽生えつつあります。小泉首相の靖国参拝は、日本に親近感を抱き始めた韓国の若者たちに不信感を与えました。

 鄭委員長の声明は、「小泉首相の靖国参拝は、未来志向的な韓日関係の構築を望んできた韓国民すべてを失望させている」としています。小泉首相の行動は日韓友好の絶好の機会を踏みつぶしかねない―。W杯組織委員長の声明は、日本政府に対する深刻な警告です。W杯日韓共同開催を成功させるためにも、このことを国民の目でしっかりと見つめることが必要ではないでしょうか。(面川誠記者)

 


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