2002年5月1日(水)「しんぶん赤旗」
東京地検特捜部は三十日、鈴木宗男衆院議員(自民党を離党)の関与が指摘された「北方四島支援」事業の国後(くなしり)島緊急避難所兼宿泊施設「友好の家」(ムネオハウス)の建設をめぐり、入札が不正に妨害されたとして、鈴木議員の公設第一秘書宮野明容疑者(53)=北海道釧路市=と工事受注業者ら七人を偽計業務妨害容疑で逮捕しました。同議員の国会再喚問や議員辞職があらためて問題になり、疑惑を放置してきた小泉首相の責任もさらに厳しく問われます。
逮捕された七人はおおむね容疑を認めているといい、特捜部は今後、鈴木議員本人に対する事情聴取も視野に入れ、疑惑解明を進める方針です。
逮捕されたのは、宮野容疑者のほか、コンサルタント会社「日本工営」(東京都千代田区)社員石井良次(53)、エンジニアリング会社「日揮」(横浜市)社員の軽部照夫(53)と菊地透(53)、渡辺建設工業(北海道根室市)社長渡辺寿一(57)、同社専務高橋庄治(59)、犬飼工務店(根室管内中標津町)社長犬飼勝(59)の六容疑者。
調べによると、宮野容疑者らは入札公告前の一九九九年六月三日、釧路市内の鈴木氏の事務所に集まりました。この場で、ムネオハウス建設工事のコンサル業務を受注した日本工営が工期や工事内容など入札情報を渡辺建設などに漏らし、さらに翌七月上旬、石井容疑者から日揮社員を経て、渡辺建設工業専務の高橋容疑者らに三億九千八百万円の見積金額を漏らした疑いがあります。
また、高橋容疑者らは同年六月中旬、入札参加を希望する別の業者に対し、参加を断念するよう求めたほか、七月七日に入札が実施されると見積もりを上回る四億円台で繰り返し応札。入札を不調にさせるなど事業発注元で外務省関連の国際機関「支援委員会」の業務を妨害した疑い。
支援委員会は、工期が迫る中、入札が不調に終わったことから、随意契約への変更を余儀なくされ、用船代約千五百万円が浮くなど、業者側に有利に条件変更されました。
この問題は、日本共産党が、外務省の内部文書をもとに国会で追及。鈴木議員が入札参加資格を地元の根室管内の業者に事実上限定するよう外務省側に要求したことを明らかにしており、鈴木議員本人の関与の解明が今後のポイントになっています。