日本共産党

2002年5月1日(水)「しんぶん赤旗」

「小泉バブル」しぼんだ

「戦争国家法案」 靖国参拝

海外の声


 仏紙ルモンド四月二十五日付は「日本の『小泉バブル』はしぼんだ」という見出しで、小泉政権一年の論評的記事を掲載しました。その要旨は次の通りです。

仏紙ルモンドが論評

激しい怒り呼んだ参拝

国粋派勢いづかせる危険

 威勢のいい日本の小泉首相は四月二十一日に靖国神社を不意に参拝するなど、また驚かした。これはこれからプラスよりもマイナスの効果を与えることだろう。

 十四人の戦争犯罪人も祭られている神社への参拝は、日本によるかつての侵略戦争容認とみる北京とソウルの激しい怒りを引き起こした。五月三十一日にソウルで始まるサッカー・ワールドカップまで四十日足らずの時期の参拝は、二〇〇一年八月十三日の参拝で抗議の声が巻き起こった近隣諸国との緊張を作り出している。

 小泉政権は執行権力の力を強化する緊急事態に関する法案を議会に提出しているが、それは激しい反対を呼び起こしている。

 二月以来の世論調査で(支持率が)30ポイント低下した小泉氏はその華々しさを失った。「小泉マジック」は終わった。彼の支持率は40%前後だが、女性有権者の支持を失い、男性では彼の政策を容認する人より批判する人が多くなっている。彼の政治的生き残りのチャンスは小さくなっている。

 実際にはスタイルしか新味がなかった小泉氏の改革に思慮に富む評論家たちは当初から懐疑を抱いていた。小泉氏が発表した「劇的な」あの有名な改革は少しも進展していない。国債発行を三十兆円以内に抑えるとか、自民党を必要ならつぶしてでも改革するといった公約を、彼は何も果たしていないと野党が主張するのは当然のことだ。

 人気のある田中真紀子外相の二月の解任は彼の人気に傷を付けた。この事件で、彼は抵抗勢力に屈し、彼が主張する改革者としての「統率力」をもはや持っていないと世論の目には映った。ところが小泉氏は今日、「狂牛病」危機で対応を誤ったため糾弾されている農水相を、農民団体から守られているからなどといって擁護した。「朝日」の世論調査によると、回答者の三分の二は政治に何も変化が出ていないとみている。

 小泉氏に対する世論の幻滅は政治に愛想を尽かせ、重大なことに、東京都知事のような国粋主義的ポピュリズムを勢いづかせる危険を今後いっそう強めることになろう。社会的領域までむしばんでいる危機によって方向性を失った日本はもはや他国同様、こうした現象から免れない。

「日本の政治的信用低下」

中国青年報

 小泉首相の「間違った行動」が日中関係や日本とアジア諸国の関係にまたしても重大な影響を及ぼしている―中国青年報は四月二十五日、首相の靖国神社参拝を批判する記事を掲載しました。

 同記事は、昨年十月訪中した小泉首相が北京の盧溝橋で「おわびと反省」のことばを述べたばかりなのに、半年後にふたたび靖国参拝を行ったことを重視し、次のように述べています。

 「この行動によって中国、韓国などアジア諸国での日本の信用は失われた。急いで世界の政治大国、軍事大国になろうとする日本に対して、アジアの諸国と人民がどうして安心できるだろうか。人々によりいっそう懸念を抱かせるのは、日本の経済低迷より政治的信用低下である」

 さらに同記事は、小泉首相に続いて九十人近い国会議員が同神社を参拝した日本の政治風土に目を向け、それを形成した主な原因として、戦後日本が侵略戦争をきちんと清算していないこと、若い世代に歴史を深く理解させる教育を行っていないことを挙げています。

 


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