2002年5月4日(土)「しんぶん赤旗」
「憲法を守ろう」「有事法制反対」と打ち鳴らされるのむぎ平和太鼓の若者たちの「ぶち合わせ太鼓」――平和を願う五千人の参加者の思いと重なり合いました。三日に開かれた「5・3憲法集会」。会場の東京・日比谷公会堂周辺は開会前から人の波が押し寄せて熱気でいっぱい。二時間前から駆けつけた人、一家そろって参加した家族づれの姿も見られました。
自宅を八時半に出て会場に一番乗りした東京・世田谷区の河合正人さん(78)。「戦時中はわら人形を前にし、銃剣で『突け』と命令されました。憲法改悪の動きや有事法制は、そんな戦争時代と重なります。ものすごく危険を感じます。人が人を殺すことは絶対にやめさせたい」と表情を引き締めていました。
集会では、各界から五団体の代表が発言しました。平和をつくりだす宗教者ネットの小河義伸さん。「世界の命を破壊する法案が次からつぎに出てきて、もう黙ってられないと宗教宗派の垣根を超えてネットを始めました」と切り出すと大きな拍手。小泉首相の靖国神社参拝にふれ「有事法制、靖国参拝は人を殺し、死ぬことを国民に強要する人の心、内面への国家の介入です」と批判しました。
全港湾労働組合の伊藤彰信さんは「戦争になれば港は戦争物資の輸送基地になります。先輩たちは朝鮮戦争やベトナム戦争でも戦争のための荷役を拒否しました。いま戦争協力の荷役を請け負わないという事業者との合意づくりをとりくんでいます」と話すと共感の拍手が送られました。
「WHO IS YUJI?」キャンペーンにとりくむ「CHANCE!(チャンス)」の四人の若者は、自分たちでつくった写真パネルを掲げて登場。「うちらに関係ないじゃん」という青年たちに「ユウジって何?」と問いかけ語り合っていることを生きいき報告し盛んな拍手。「いろんな運動のやり方があっていい。まず有事を知って考え、そして個人の責任で賛否を」とのべました。
女性の憲法年連絡会の中小路貴子さんは日赤の看護師。白衣姿で登壇して、先の大戦の悲惨な歴史を報告。「看護婦は戦争で傷ついた人を看護して戦争に送り出して看護婦も命を落としました。日赤の病院には一般の人は入院できなかった。また同じ過ちを起こすのでしょうか。日本中の女性が手を携えれば有事法制を阻止できます」と発言すると、会場から「そうだ」の声が飛びました。
子どもと教科書ネット21の糀谷陽子さんは、有事法制と教育基本法の改悪反対を呼びかけました。「それは戦争に駆り出す国民づくりだからです」と糀谷さん。愛国心が教育の目標にされている現状にもふれ、「いま必要なのは教育基本法にもとづく教育をすることです」と訴えると大きな拍手が起こりました。
ロビーで若者と話していた神奈川県小田原市の高校教師、吉越良平さんは「いま有事法制を許してはいけない、そのために平和について考えていくことが大事だと思いました。子ども達に有事法制の中身や平和を伝えたい。それは教師、おとなの責任です」と語っていました。