2002年5月4日(土)「しんぶん赤旗」
有事三法案が国会に提出されるという事態のなか、憲法記念日の三日、東京・日比谷公会堂で開かれた憲法集会では、開場前から会場をとりまく数百メートルの入場待ちの列ができました。入りきれない多くの人が会場の外で見守るなか、集会は「憲法を守れ」の声とともに、「いま有事法制反対の声をあげなければ」「戦争への道は許さない」の熱い思いにあふれました。
「憲法九条が戦車のキャタピラでおしつぶされようとしている」。正午の開場二時間前から並び始めた、「小泉首相は戦争の恐ろしさを知らないんだ」という九十三歳の男性がかみしめるようにいいました。
立場や世代の違いを超えて参加した人々。若者の姿が目立ちました。
「有事立法なんて自分には関係ないと思っていたけど、そうじゃなかった」というのは大学一年生の柴田翔太郎さん。日本共産党の志位和夫委員長の話を聞いて「法案の中身が詳しく分かった。自分たちの問題だし、大学のみんなと話し合っていきたい」といいます。
ロビーでモニターに見いっていた鈴木町子さん(53)、ゆかりさん(18)母娘は、「有事法制と憲法は絶対に両立しないという話が、すごく胸に落ちた」と語り合いました。「勉強して友だちにも知らせたい」(ゆかりさん)
右手につえを握りしめる小林伸子さん(55)は「戦争への道を許さない女たちの会」のメンバー。午前中、仲間と「NO!戦争をする国」と書かれたプラカードを持って東京・北区十条の自衛隊基地までデモ行進して、集会にかけつけました。「足の具合が悪いなんていってられません。子どもたちのためにも、戦争をする国にしてはなりません」
初参加の塚田晋一郎さん(19)=東京・町田市=はいいます。「あれだけ分かりづらい法案が、国民が知らないうちに、あっという間に決まってしまうかもしれない。ぼくら一市民に何ができるのかって思うけど、何もしないわけにもいかない。最優先で取り組まないと」
テロにも報復戦争にも反対する「高校生一万人アピール署名」をすすめる女子高校生は、「あと一千弱で目標達成。来年は受験だけど、平和運動も受験勉強もがんばります」
憲法記念日の三日、名古屋市では「憲法でつくる平和を世界に」をテーマに、愛知憲法会議主催の「憲法施行五十五周年記念市民のつどい」が開かれました。有事法制法案が国会に提案されているという緊迫した事態を反映し、二千七百人の市民がつめかけ、会場の名古屋市公会堂大ホールは一階から三階まで超満員となりました。
作家の辺見庸氏が「私たちはどのような時代に生きているか」と題して講演。「小泉首相は、平和の構造を、戦争の構造へと、改悪をやりつつある」とのべ、有事法制阻止に、市民が勇気を奮って、できることから一ミリでも実現させる行動をおこそうと呼びかけました。「そうだ」という掛け声や拍手がわき起こりました。
第二部「ショウ・ザ・憲法」では、作曲家の池辺晋一郎氏を迎え、つどいのために結成された「憲法をうたう合唱団」の指揮をとりました。
森英樹愛知憲法会議事務局長(名古屋大学教授)とのトークで池辺氏は、「音楽は政治や社会を直接動かすわけではないが、行動しようと思うとき、根源的な力になる」「憲法は日本が世界に誇る財産です。(有事のための)『備え』をという人があるが、『備え』は日本の憲法です」と語り、大きな拍手を受けました。