2002年5月5日(日)「しんぶん赤旗」
地方自治体に戦争協力の「責務」を負わせ、首相の指示・執行権のもとにおく「戦争国家法案」(有事関連三法案)に、自治体首長や議会から反対や懸念の声があがっています。
徳島県知事選で当選したばかりの大田正氏は四月二十九日、「紛争を想定し、自治体に協力を求める法案はいかがなものか」と反対を表明。「米軍が戦争を仕掛け、その傘下に入るような政府の考え方には、他国のために国民が動員され、自治体が使われる可能性がある」と指摘しました。
高知県の橋本大二郎知事も「事態」の定義があいまいだと指摘し、「緊急性はない」と反対。長野県の田中康夫知事は「憂うというものを超えて、阻止せねばならないことだと思っている」と強い決意をのべています。
沖縄県平良市の伊志嶺亮市長は「市民の生命と財産を保護すべき市長として到底納得できない」と強く反対しています。
賛否は別にして、問題点を指摘する首長も。岡山県の石井正弘知事は「どういう『事態』を想定しているのか明確でなく、十分な議論が必要」と表明、神奈川県秦野市の二宮忠夫市長も「(法案には)不明な点も多く、説明もないまま進められるのは困る」とのべました。
北海道では、地元紙のアンケートにこたえた三十四首長中、明確な「賛成」は数人でした。菊谷勝利砂川市長が反対を表明したほか、「慎重に審議してほしい」「国会論議で問題点を明らかにしてもらいたい」などの意見があいつぎました。
沖縄県でも、同様のアンケートに十三自治体首長が「再び戦争への道を開くことになる」(翁長正貞西原町長)などと明確に反対を表明しています。
地方議会では法案提出前から意見書採択の動きが出ています。
東京都小金井市は、「最大の備えは憲法に基づき、平和で平等な国際社会をつくるために努力することである」と反対の意見書を採択(三月二十三日)。岩手県北上市議会も「地方自治体及び住民の基本的権利に抵触し、自治体職員や民間人の企業活動に深く関わらざるを得ない」との決議をしています(同十九日)。