2002年5月5日(日)「しんぶん赤旗」
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さいたま市のJR浦和駅前にオカリナの優しい音色が流れます。アニメ「千と千尋の神隠し」の主題歌「いつも何度でも」です。演奏しているのは「戦争国家法案(有事法制三法案)を、絶対通しちゃあいけない」と一人で宣伝を続けている高橋光男さん(51)=同市在住、ギアポンプ製造の会社に勤務=です。
「花」「ビリーブ」「さとうきび畑」…と続きます。「うまいわねぇ」とつぶやいていく人、演奏に合わせて歌いながらいく人。
高橋さんの前の譜面台には「LOVE&PEACE 戦争はいらない 平和主義者=罪人の有事法制NO」のポスターがかけてあります。手作りです。
立ち止まって聴いてくれる人に、政府が国家戦争法案を国会に出していることを語りかけます。
若い女性三人と対話になりました。アメリカが海外で始める介入戦争に日本が参戦する、そのために罰則つきで国民を強制動員する戦時体制をつくろうとしていると話すと「えーっ、知らなかったー」「小泉(首相)、いやだぁー」。
同法案の動きが風雲急を告げてきた三月はじめから休日に、JR浦和駅前や大宮駅前に立ってきました。
「日本が昔やった侵略戦争への反省もなく、世界の平和の秩序を壊してしまうアメリカと一緒に戦争する。そのとき小泉首相が全権を掌握して支配して、国民の自由を奪ってしまう。そんなことはさせたくありません」
オカリナは十四年前から習い始めました。いまは市内のオカリナのサークルで教えています。「自分の訴える手段はこれしかないからオカリナを吹きながら訴えています」
声をかけてみると同法案が国会に出ていることを知っているのは十人に一人くらいです。「危機感を持っています。もっともっと訴えて阻止したい。娘が妊娠中です。生まれてくる初孫に戦争のない世の中を手渡したいですね」