2002年5月6日(月)「しんぶん赤旗」
日本共産党の筆坂秀世書記局長代行は五日午前、テレビ朝日系「サンデープロジェクト」に出演し、戦争国家法案(武力攻撃事態法案など有事三法案)について与野党の政治家らと討論しました。
筆坂氏は、戦争国家法案の狙いが、日本が武力攻撃を受けた場合の「万が一」の備えではなく、アメリカがアジア太平洋地域で引き起こす戦争に、国民を強制動員することにあるとし、一九九九年に成立した周辺事態法との関連を指摘しました。
筆坂氏は、(1)周辺事態法では、日本が武力攻撃を受けたときではなく、アメリカが「日本周辺」地域で軍事行動を起こした場合に、日本が「後方地域支援」の名で協力する仕組みになっていること、(2)戦争国家法案が発動される「武力攻撃事態」には「周辺事態」も含まれており、「今度は(単なる)協力だけでなく、(協力が)強制できる仕組みになる」ことを指摘。アメリカが、アジア太平洋地域で軍事介入を行い、戦争国家法案が発動されることこそが、もっともリアリティー(現実性)があると述べました。
森本敏・拓植大学教授(元外務省安保政策室長)も「『周辺事態』はほとんど、『(武力攻撃が)予測される事態』(武力攻撃事態)になる」と述べました。
筆坂氏は、周辺事態法制定から戦争国家法案に向けた一連の流れにはアメリカの要求があったと強調し、同国は周辺事態法に、集団的自衛権の行使が明記されていないことや国民を強制動員する仕掛けがないことなどに不満をもっていたことが、戦争国家法案につながったと指摘。フランスが有事法制を植民地の独立運動を抑圧するために使ったことなども紹介し、「有事法制は盾ではなく、矛になる」と強調しました。
司会の田原総一朗氏は「周辺事態法は、アメリカの要求でできたが、欠陥があり、(その)欠陥を埋めろというアメリカの要請で、(今度の)有事法制ができたと、国民の多くはみている」と発言。森本氏も「まったくその通りだ」と述べました。
「万が一そういう(日本が武力攻撃を受ける)事態になったとき、どうするのか」(公明党・北側一雄政調会長)との発言に対し、筆坂氏は、かつての防衛事務次官が「自衛隊が動く法律は、すでに九十数%できている」と発言していることをあげ、「自衛隊が動くルールはできている」と指摘。日本が直接、武力攻撃を受ける事態があれば「国民はみんな協力する」と述べました。
筆坂氏は「一番怖いのは、いまアメリカがどういう戦略をとっているかということだ」とのべ、同国がイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しして、先制攻撃も辞さない戦略をとっていることを指摘。「そのときに、無条件にくっついていってしまうというのが、いまの自衛隊だ」と警告しました。
討論を受けて、感想を求められた島田紳助氏は「結局は『日本を守る』といいながらアメリカに利用されている仕掛けだなと思う」とコメントしました。